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電子ブックリーダーを日本に投入!? BenQに突撃インタビュー

2010年09月28日 12時00分更新

文● 塩田紳二

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日本で電子ブックリーダー市場に参入?

―――しかし、携帯電話マーケットは、事業者が多くの決定権を持っています。どのような戦略で望むのでしょうか?

ベンキュージャパンの代表執行役社長のMartin Moelle氏

Martin Moelle氏(以下敬称略):日本では、事業者といろいろな話し合いをしています。現在では、さまざまな種類のモバイルデバイスが求められており、我々にも機会があるのではないかと思っています。また、我々は日本のさまざまなコンテンツにも注目しています。そのなかで、我々のモバイルデバイスのうち3G機能を搭載したものも受け入れられるのではないでしょうか。

―――ブックリーダー分野ではどうでしょう?

Moelle氏:いろいろなチャンスがあると思います。我々は、キャリアや出版社、コンテンツホルダーの要望にあわせハードウェア、ソフトウェアをカスタマイズした製品を提供できる技術を持っています。標準が決まれば対応することは難しくないでしょう。

―――この製品(7インチのタブレットコンピュータのプロトタイプ)は、コンピュータなのでしょうか? それともブックリーダーですか?

Chang:両方です。7インチの製品を用意したのは、10インチは男性には扱えても、女性にはちょっと重く大きすぎます。それで7インチの製品を用意しているのです。7インチのほうが小さく扱いやすいので、男性、女性のどちらにもベストといえます。また、重いとブックリーダーとして扱うのが困難になります。日本でも受け入れられるような製品ではないでしょうか。

―――この製品はAndroidを使っているのですよね?

Chang:そうです。我々はこのために独自のユーザーインターフェースを開発しました。標準のAndroidは、画面の小さなスマートフォン用なので、そのまま画面の大きなタブレットに使うのは難しいと考えました。我々のデザインセンターのチームが開発したもので「Andy」と呼ばれています。Androidを採用するのはこれが初めてではなく、すでにAndroidを採用したMID(Mobile Internet Device)をいくつか手がけています。

―――出荷は年内ですか?

Chang:11月に生産を開始して12月ぐらいの出荷なので、年内の出荷数はそう大きなものではないとおもいます。3G機能があるので、これは出荷できる場所は限られると思います。価格は、そう高いものにはならないと思います。399ドルぐらいを考えています。

―――HDMIを搭載しているのですよね? どうしてでしょう?

Chang:カラー表示が可能なので、オーディオ、ビデオでの利用を考えてのことです。これは単純なブックリーダーと違う部分です。現在では、多くのテレビやモニターがHDMIに対応しているので、もっとも簡単に接続できる方法だからです。

感圧式の10.1型LEDタッチパネルを搭載したnReaderシリーズの最上位モデル「R100」。どちらかというとスマートPCに近い製品だ。解像度は1024×600ドット。3.5G+Wi-Fiに対応しており、ebookstoreやそのほかのWebサービスに接続できるとしている。なお画面から気づいた人がいるかも知れないが、OSはBenQのラッパーをかけたAndroid2.0となっており、発売の際には2.2にバージョンアップをしたいとしている。CPUはSAMSUNGのR100(667MHz)。重さは700g、薄さは14.4mm。2011年ごろ発売予定

―――日本での次の新しい製品は何になるのでしょうか?

Moelle氏:確定しているわけではありませんが、ブックリーダー分野の製品が導入できればと考えています。日本のeBook Japanなどとも話し合いを進めており、BenQグループのSipix社の電子ペーパーを使った当社のブックリーダーは、3G機能なども搭載しており、世界的に見ても競争力のある製品だといえます。日本でも、近いうちに電子書籍がポピュラーになるでしょう。そのタイミングにチャンスがあるのではないでしょうか。

Wi-Fiに3G機能を付加した上位モデルの「K61」(左)と3G機能を省いた「K60」(中央)。パネルなどは両モデルとも同じだが、若干サイズやボタン位置などが異なる。右写真は両モデルのサイズを比較したところ。左が「K61」、右が「K60」

―――御社は、世界的にモニタやTVを販売していますが、3Dについてはどう感じていますか?

Chang:3Dは、家電でもいずれメジャーな分野になると思っています。テレビだけでなく、コンピュータなどさまざまな分野に3Dの機能が入っていくことになるのではないかと考えています。ただし、コンテンツに大きく依存することになるでしょう。我々は、常に顧客にどうしたら楽しんでもらえるかを考えています。例えば、2Dの映像を3Dに自動的に変換する機能などを開発しています。現在は完全なものではありませんが、3Dのコンテンツが充実するまでは、ベストなやり方ではないかと思います。

―――BenQグループの特徴や強みはどのようなところにあるのでしょうか?

Chang:我々のグループは、Acer創業者であるStan Shih(スタン・シー/施振栄)が提唱したスマイルカーブのうち、付加価値の高い部分にリソースを集中しています。これは、メーカーにおける活動を「開発」、「部品生産」、「組み立て」、「販売」、「ブランド・サービス」としたときに両端の「開発」や「ブランド・サービス」は付加価値が高いのに対して、中央の「組み立て」にはあまり付加価値がないという理論です。
 このため、我々のグループは、付加価値の高い部分に集中ようにしていて、BenQ自体からは、製造部門を別会社として独立させ、さまざまな企業のOEM/ODMを請け負う企業としています。販売もディーラーを通した形にしています。

―――そういえば御社は元々、Acer Peripheralsという社名で、Acer社の周辺機器部門がスピンオフしてできた会社ですよね。現在ではAcerとの関係はどうなっているのでしょうか?

Chang:現時点では、Acerと我々の間に資本関係はなくお互いに独立しています。いまではAcerは、我々のライバルの1つといえるでしょう。

―――ちなみにBenQという名称はどこから来ているのでしょうか?

Chen氏:中国名は「明基」なのですが、当社のビジョンでもある中国の言葉「傳達資訊生活的真善美」を英訳した「Bringing Enjoyment and Quality to life」を略して英語名としています。

BenQの名前の由来を書いてもらった。彼らが日本市場でどのようにシェアを拡大するのか、今後が展開が気になるところだ

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