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松村太郎×遠藤諭・「タブレット革命」特別対談

iPadは「儲かる&モテる」!? タブレット端末の今を語る

2010年09月14日 12時00分更新

文● 広田稔 語り●松村太郎、遠藤諭/アスキー総研

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iPadはアプリよりウェブ向きの端末だ!

松村:業務が楽になったという話では、AIGエジソン生命の例も近いです。同社ではウェブサイトでお客に見せる保険の資料を作っていたんですが、iPadが出てきてからアプリケーションを作らなくても、そのウェブページをiPadで見せるだけで済むようになってしまった。

 iPadでもアプリは注目されていますが、意外とこの画面サイズならウェブページだけでも行けてしまうという。

遠藤:それはクリス・アンダーソンの「ウェブは死んだ」に反するような話だね(笑)。

「ウェブを読むことができるのはiPadだけ」

松村:iPadのキラーアプリは「Safari」なんです。今までウェブページは横向きの画面で「見て」いましたが、iPadなら画面が大きくて手で持てるので、縦向きで顔に近づけて「読む」ことができる。ウェブページを電子書籍と同じ読むレベルにまで持っていった端末って、もしかしたらiPadが初めてかもしれない。

 僕自身も一番使っているのはSafariで、アマゾンで何かを買うとか、ちょっとブログを更新するといったウェブベースの作業はMacを使わずにiPadで済むようになってきた。これは大きな変化でした。

遠藤:先ほど触れたユーザー実態調査の用途を見ても、確かにSafariによるニュースの閲覧がトップだったんですよ。しかし、アップルはiPadをアプリ端末として売ろうとしているわけですよね。

アスキー総研がまとめた「iPad購入実態調査」における「iPadの用途」の項目。メールとSafariの利用が突出している

松村:ユーザーはそこまで感覚が追いついてなくて、まだウェブから抜け出せていないと思うんです。iPadアプリは2万5000個もリリースされていますが、使う必然性がウェブサービスに勝っているものが少ない。

iPadでGoogle カレンダーを表示した例

 ニンテンドーDSやPSPなどのゲームなら、ソフトを目当てに端末を買うというのはあるでしょうけど、まだそれはiPadでは想像しにくいですよね。画面が大きいとか、タッチの操作がしやすいとか、バッテリー駆動時間が長いといったハードの価値で買っていて、パソコンに比べるとアプリの比重が小さい。

 もちろんユーザーが増えてくれば、iPhoneのようにアプリの魅力も前面に出てくると思いますが、今のところiPadは「ウェブの最終兵器」って位置付けだと考えています。

「iPadはファイル概念がなかったのがよかった。途中からフォルダー機能を付けて『堕落』してしまったけどね」

遠藤:とはいえウェブブラウザーやウェブアプリを扱うのって、パソコンに慣れてない50代のオヤジにとっては難しいんですよ。

 ディレクトリ構造があって、そこにファイルを置いて管理するというのは、本来、人間は得意じゃない。僕が超整理法でしか書類を整理できないのと一緒で、それがパソコンの難しさに直結している。今でも情報に無縁な人はまだまだ多くて、そうした人たちは家電レベルの機器しか扱えない。

 その点、iPhoneの初代が出てきたときには、ファイルという概念がなかった。パーソナルワープロ機と一緒で、アプリとそのデータが直結していて「このファイルどうしよう」と悩まなくてよかった。僕はiPhoneの魅力はタッチインターフェイスやデザインなどの作りではなくてファイルシステムだと思ったんですね。

 その意味ではiPadもアプリで押すべきだと思うんだけど、ただ、受け手側のリテラシーや状況によって、ウェブを使うのか、アプリにするのか選べたほうがいいのは確かですね。iPadの場合は、今のところウェブのほうがいいということですね。

── ITリテラシーと言えば、ネットで検索することもできないって人は意外と多いですよね。

松村:検索って難しいですよね。「自在定規」ってご存知ですか? 自由に折り曲げられる定規なんですが、写真で見せられても、名前がわからなければウェブで検索できなかったという経験があります。でも知っている人に聞けば、すぐに自在定規だよって教えてくれる。そういったサービスについて、この書籍でも「テル型メディア」として紹介しています。

遠藤:テル型メディア?

松村:今まで旧来のマスメディアは「プッシュ型」、グーグルはユーザーが自分で探すから「プル型」と呼ばれていますよね。でもマスメディアはチャンネルが限られているし、グーグルのようなメディアは自在定規のような言葉で言い表せないものを検索するのが難しい。

 テル型メディアというのは、TwitterとかFacebookなどのウェブサービスを指します。自分だけでなんとかする訳ではなくて、友達に「テル」してもらうことで目的のものを探すという。

 今の時代、情報の発信と共有は表裏一体で、それこそFacebookなら「いいね!」ボタンを押すだけで誰かに自分の意思を知らせることができる。mixiの「チェック」も自分のためのメモであるとともに、友達にも知らせる意義も持っていますよね。

遠藤:それがタブレット端末と相性がいいという?

松村:そうですね。単純に最初のSafariがいいという話の延長なんですけど、気軽にウェブブラウジングしたり、SNSを使っている中で、気軽に情報発信と受信をしているという。今までは一生懸命、文字を書かなければ情報を発信できなかったけど、それがテル型メディアとウェブ閲覧に便利なタブレット端末の登場で、より自然と実現できるようになったんです。



(次ページに続く)



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