2010年秋、注目アニメは四原色の「AQUOSクアトロン」で観る! 第1回
氷川竜介とシャープ開発陣が本気で画質チェック!
クアトロンはアニメでも真価を発揮するのか?
2010年09月27日 10時00分更新
AQUOSクアトロンを取り上げた3つの理由
さて、具体的な画質の検証に入って行く前に、編集部が数ある薄型テレビの中から、AQUOSクアトロンに注目したかについて解説しておこう。
その理由は大きく分けて以下の3つである。以前ご紹介したAQUOS LX3そのものの特徴と合わせて確認してほしい(関連記事)。
- 映像の鮮やかさに貢献する“高輝度”と“エコ性能”の両立
- 「フルハイプラス」による高精細な映像表現
- 四原色で実現された広色域と、詳細な画質設定項目
まずは(1)の高輝度化について。アニメを見る上で非常に重要なファクターだ。輝度が向上すれば、白のピークが伸び、色彩の透明感が増す。これにLEDバックライトならではの締まった黒が加われば、コントラストが高く、メリハリの利いた映像表現が可能になる。
AQUOSクアトロンでは、複数の技術を掛け合わせることで、大きな輝度アップを達成した。輝度向上の第1の理由は、昨年後半に発表されたLED AQUOSから用いられている「UV2A」パネルによる開口率の改善がある。UV2Aの採用により、バックライトを遮る液晶パネルの遮蔽物(リブやスリット)を極限まで排除でき、光の利用効率が約1.2倍改善した。
黄色(Y)の追加も高輝度化に寄与する。実はLEDバックライトには三原色で利用するRGB(赤・緑・青)の3色以外にも、その中間となるスペクトラムが含まれている。しかし、RGBのカラーフィルターはそのうちの該当する波長しか光を透過しないため、それ以外の波長を捨てていることになるのだ。黄色を追加することで、LEDの光をより効率よく活用できることになる。
その効果は絶大で、各色のフィルターを仕切るスリットが入っても、黄色フィルターの追加で、20%以上の改善が得られるという。ちなみに、3D表示対応の上位機種LV3シリーズでは、駆動回路の最適化やバックライト制御を工夫し、さらに輝度の改善を狙っている。
また、光の利用効率が上がるということは、裏を返せば、より少ないエネルギーで従来と同じ輝度が得られるということでもある。黄色の追加にあたっては、テレビの放送映像をはじめとする10万フレーム分のデータが解析された。
その結果、これまでの三原色に黄色を足すことが最も光の効率が良く、省エネになることが判明したのだ。
四原色で高精細化も実現した、AQUOSクアトロン
次に注目したいのが(2)のフルハイプラス。これはY点の追加によって増えたパネルのドット数を高精細な映像表現に応用しようという、シャープ独自の技術である。従来機種(三原色モデル)のドット数は約622万ドット(1920×1080画素×3色)あったが、四原色になればこれが約829万ドット(1920×1080画素×4色)と1.3倍に増える。
増加したドットを、ジャギーの目立ちやすい「急角度の斜め線の表現」やドット間の輝度を「スムーズにする」ために用いているのがフルハイプラスだ。精緻な輪郭線で描かれた日本のアニメーションでは、解像度の高低が画質に直結する。フルハイプラスが表現にどのような影響を与えるかは注目したいところ。
そして最後となるのが(3)の広色域。四原色の神髄とも言える特徴である。純度の高い色再現を期待するのは当然だが、色域が広ければそれだけ、好みに合った画質の調整が可能になることも期待できる。AQUOSクアトロンは、従来のLED AQUOSの時代から、細かいパラメーターの調整が可能で、マニアックな色へのこだわりに応えてくれていた。また、視聴者好みの画質をメニューに従って簡単に得られる「好画質センサー」も用意している。
AQUOSクアトロンには、アニメモードなどアニメ視聴用の専用モードはない。しかし、これらの特徴を効果的に活用していくことで、アニメの視聴に適した追い込みが可能になっていくはずだ。