すでに中国は世界2位のスマートフォン市場を持つ
ここで中国におけるスマートフォンの数値を見てみよう。イギリスの調査会社であるCanalysによると、2010年第2四半期(4~6月)に中国のスマートフォン出荷台数は690万台。世界全体の11%に相当する台数で、アメリカに次いで世界2位のスマートフォン市場になっている。ベンダー別シェアはSymbianの採用で知られるNokiaが76.9%と他を圧倒しており、Android端末の出荷台数は合計で47万台で7%程度にとどまっている。
だが、Androidは1年前にはほとんど存在感がなかったことを考えると、中国でもAndroidが今後急成長することが考えられる。牽引役となりそうなのが、中国最大のChina Mobile(加入者数ベースでは世界最大のオペレータ)のOMSことOPhoneだ。
OMSはChina Mobileが中国のソフトウェア開発企業、Borqsと共同開発したAndroidベースの専用モバイルOSである。2009年9月に発表され、2010年6月にはAndroid OS 2.1ベースのバージョン2.0を発表している。バージョン2.0のリリース時点で、OMSの登録開発者数は5万人を上回っており、1300以上のアプリケーションが提出されたという。Motorola、Sony Ericsson、Samsungのほか、DellやLenovoもOPhone端末を開発/提供している。
今後China Mobileは端末メーカーらとともに、端末ラインナップの拡充とアプリケーションの増加の相乗効果を狙うと思われる。このようなChina Mobileのテコ入れもあり、中国でもAndroid端末が今後急激にシェアを伸ばす可能性は大いにありそうだ。
中国ベンダーもAndroid端末に力を入れている
最後に、中国メーカーのAndroid関連動向のニュースをまとめると、9月2日にHuawei Technologies(華為技術)がAndroid OS 2.2を搭載した低価格機種「Ideos」を発表した。HuaweiはすでにAndroid端末を持つが、Ideosはグローバル向けに開発された初のAndroidという。まずは香港で発売したのちに、北米、欧州、アジアなど世界市場で発売を予定している。
ZTEも7月に発表した「Racer」で、晴れて自社Android端末の欧州デビューを果たした。ZTEは国際展開について、アメリカにフォーカスしていく戦略も明らかにしている。これらの中国ベンダーの動きについては、また別の機会にまとめたいと思う。
筆者紹介──末岡洋子
フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている
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