さらにWHS Premiumは、Windows 7で採用された「ホームグループ」に対応している。そのため、WHS Premiumが動いているサーバーをホームグループに登録しておけば、Windows 7のクライアントから簡単にアクセスできる。
もうひとつ注目される点は、Mac OS用のLaunchpadがリリースされたことだ。これにより、MacもWHS Premiumのクライアントとして利用可能になり、WHS搭載機の共有フォルダーにアクセス可能になった。期待されるのは、Mac OS Xのバックアップシステム「Time Machine」との連携だが、こちらは8月のリフレッシュβ版でもサポートされていなかった。できれば、製品版ではサポートされることを期待したい。
ビデオストリーミングが進化
DLNAの互換性も向上
WHS Premiumで大きな機能改良としては、ストリーミングメディア機能の強化と互換性向上も挙げられる。現在のWHSは、DLNAをサポートしてはいたものの、DLNAクライアントとの再生互換性は高くなかった。しかしWHS Premiumでは、Windows 7でも採用されているDLNAサーバーの機能がサポートされたため、より多くのDLNAクライアントで音楽やビデオの再生が可能になる。
また、Windows 7で採用されているメディアストリーミング機能を持っているため、DLNAクライアントの再生機能に合わせて、コンテンツをトランスコードして配信する機能も有している。トランスコードにはCPUパワーを必要とするため、Atomのシングルコアではなく、もう少しパワーのあるCPUが必要になるだろう。
一方、日本のユーザーが期待するDTCP-IPには対応していないため、地デジの録画映像をWHS Premiumだけで配信することはできない。さらに地デジチューナーへの対応も、標準では行なわれていない。WHS Premium対応の地デジチューナーや、WHS Premium対応のDTCP-IP用ソフトなどがサードパーティーからリリースされない限り、実現されないだろう。
WHSの特徴といえるクライアントのバックアップ機能も改良されている。Windows 7では、クライアントのHDD上にシステムブートのため100MBの領域があらかじめ予約されている。WHS Premiumでは、このシステム予約されている領域を含めてバックアップすることが可能になった。
そのほかにも、HDDの追加機能「Drive Extender」も、信頼性の向上とパフォーマンス向上が図られている。
一方、現在のWHSでは、クライアントのWindowsアカウントとWHSのログオンアカウントが同じだったが、WHS Premiumでは分離された。そのためWindowsにログオンするだけでは駄目で、LaunchpadでWHS Premiumにログオンしないと、WHSが利用できなくなった。
現状と比べると面倒になったように感じてしまうが、セキュリティー面を考えれば、クライアントとWHSのアカウントは分離されていた方がいいので、痛し痒しといったところか。
WHS Premiumのリリースはいつに?
8月末に公開されたリフレッシュβ版は、英語版のみだった。日本語版は古いβ版のままだ。WHS Premiumのリリース時期について、マイクロソフトでは明確にしていない。だがリフレッシュβ版をインストールしてみた感じで言えば、だいぶRTM版に近づいている感じがする。このまま順調にいけば、年内にはリリースされるだろう。
ただし、WHS PremiumのOS自体がリリースされても、実際に各メーカーからWHS Premium搭載ホームサーバーがリリースされるのは、それより後になる。おそらく2011年半ばぐらいになるのではないだろうか。ハードウェアは現在販売している製品を流用するとしても、独自に追加しているWHS用アドインなどの動作チェックや、WHS Premium用アドインの開発などには時間がかかるためだ。
今回はβ版であるため、ざっとした機能紹介に止まったが、日本語に対応したWHS PremiumのRTM版がリリースされた際には、より詳細なレビューを披露したい。
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