去る8月末に、次期Windows Home Serverこと「Windows Home Server Premium」(以下WHS Premium)のβ版が、開発の進んだリフレッシュβ版に更新された。今回はこのWHS Premiumに関して解説しよう。
64bit版の2008 R2をベースに
WHS Premium(開発コード名 Vail)は、2009年に発売された「Windows Server 2008 R2」をベースとして開発されている。一方現在のWHSは、「Windows Server 2003」の32bit版がベースとなっている。そのため、メインメモリーの最大容量は4GBに制限されていた。
ホームサーバーという用途を考えれば、64bit化にそれほどのメリットはない。しかし、最新のサーバーOSがベースとなったことで、多くの最新ハードウェアに対応したのは大きな利点だ。
メーカーがあらかじめWHSをインストールして、ホームサーバー製品を販売している現状を考えれば、最新のハードウェアに対応しても、メリットが大きいとは思えないかもしれない。しかし、最新のCPUやチップセットに対応することで、より低消費電力での運用や、最新のインタフェース(例えばUSB3.0)への対応などが容易に可能となる。
例えば現在のWHSでは、デフォルトではAHCIによるSATAストレージ接続には対応していなかった。それがWHS PremiumではAHCIに対応したため、OSをインストール時から、AHCI接続されたHDDを認識できる。
ちなみにWHS Premium β版でのシステム要件は、「1.4GHz以上のCPU、1GB以上のメモリー、HDDは160GB以上」となっている。現在市販されているパソコンと比べれば、信じられないほどの低いスペックとなっている。ただし、OSが64bit化されているため、64bit環境に対応していないCPUでは動かせない。
WHS Premiumの新機能は?
おさらいになるが、WHSはファイル共有機能やメディアサーバーとしての機能、ネットワークを経由したクライアントパソコンのバックアップ機能、さらにインターネットからのリモートアクセス機能や独自のHDD管理機能(ユーザーはドライブ名を意識しなくていい)などを持つホームサーバー専用OSだ(詳細は関連記事参照)。
搭載製品が持つ機能だけを見れば、家庭向けのNASと同じようなものに見えるかもしれない。しかし、WHSはWindows Serverをベースにしているため、ユーザーがWHS用のアプリケーションを追加することで、機能を拡張できる。例えば、WHS用のセキュリティーソフトをインストールすれば、WHSに保存されているファイルのウイルスチェックをできる。
新しいWHS Premiumでも、基本的な機能は現在のWHSと大きく変わらない。ただし、OS自体が変わったことで、内部的には大幅に改良されている。ユーザーから見える部分で最も大きく変わったのは、WHSのコンソール画面だ。WHS Premiumでは「Dashboard」という名称になり、よりグラフィカルで使いやすい機能になった。
さらに、クライアント側パソコンにインストールするコネクタソフトウェアも「Launchpad」というアプリケーションに一新されている。Launchpadをクライアントにインストールすると、WHSの各機能がメニューとしてウインドウに表示される。このウインドウから、簡単に共有フォルダーにアクセスしたり、クライアントのバックアップができる。
この連載の記事
-
第50回
PC
次期IE「Internet Explorer 10」プレビュー版が公開 -
第49回
PC
RTM版も登場 Windows Home Server 2011の変更点とは -
第48回
PC
5秒で起動するSplashtop OSを自作パソコンで試す -
第47回
PC
ベンチで検証 Internet Explorer 9 RCの互換性と性能 -
第46回
PC
正式版の直前となるInternet Explorer 9 RC版が登場 -
第45回
PC
Silverlightをさらに進化させる「Silverlight 5」 -
第44回
PC
「Windows on ARM」が持つ意味と課題は何か? -
第43回
PC
GPUを利用できる仮想化ソフト XenClient 実践編 -
第42回
PC
複数のWindowsを使い分ける仮想化ソフト XenClient -
第41回
PC
3秒で起動しWindowsと共存するOS「Splashtop OS」 -
第40回
PC
最新版「PP7」に見るIE9の性能と互換性の高さ - この連載の一覧へ