ローエンドやミドルレンジの
フィーチャーフォンでシェアを伸ばしたLG
LG Electronics(LG)が8月、今年後半に向けたスマートフォン戦略を発表した。スマートフォンでは他社同様「Android」を主軸にしようとするLGだが、2機種目のAndroid端末となる「LG GT540(Optimus)」が今ひとつと伝えられている。年末商戦を視野に入れた最新戦略では、NVIDIAの携帯端末用SoC(System on a Chip)「Tegra」で差別化を図る狙いのようだ。
LGはNokia、Samsungに次ぐ世界第3位の携帯電話メーカーである。台数が稼げるローエンドとミッドレンジを得意とし、Sony EricssonやMotorolaを抑えてきた。LGは2009年、シェアを大きく増やしたが、これはいわゆるフィーチャーフォンの功績によるものだ。
iPhoneが登場して業界の流れが変わったあと、LGは「Voyager」「Dare」「Vu」などのタッチベースの携帯電話を次々と投入した。タッチ携帯では流行に乗ったものの、オープンプラットフォームのOSを搭載したスマートフォンは少なく(この流れはSamsungと似ているように思う)、課題を残したまま2010年を迎えた。
LGはこれまで、オープンプラットフォームでは「Symbian」「Windows Mobile」を採用した機種を手がけてきたが、大きなプッシュではなかった。スマートフォンブームに合わせ、LGは2009年秋に初のAndroid携帯電話「LG GW620」を発表。そして2010年に入り、Androidを中心に立てたスマートフォン強化戦略を発表した。
その中で同社は携帯電話の目標販売台数を前年比20%増の1億4000万台(2009年は1億1700万台)とした上で、年内に約20機種のスマートフォンを投入することを明らかにした。OSはAndroid、Windows Mobile、それにLinuxの3種類が言及されていた(LGは直前のCESで、Moblinベースの「GW990」を発表している。だがGW990は結局現実のものになることはなかった)。当時、Financial Times紙に対し、「Samsungを追い越し、2位になる」という目標も豪語していたが、その背景には引き続き強化していくとしていたフィーチャーフォンへの期待もあったようだ。
その後、春に2機種目のGT540を「Optimus」という名称でローンチし、CDMA対応のAndroid端末「Ally」も発表、7月にはOptimusブランドでスマートフォンをシリーズ化する戦略を発表する。ここでLGは、2010年後半にOptimusの名を冠したスマートフォンを約10機種投入すること、Optimusブランドのタブレット端末を発売する計画を明らかにした。OSについてはタブレットは明確にAndroidとしているが、スマートフォンは「さまざまな人気OS」としており、Androidだけのブランドではないようだ。とはいえ、現在準備中のOptimus端末として紹介した「LG Optimus One with Google」「LG Optimus Chic」はAndroid 2.2(Froyo)ベース。前者はGoogleサービスへのスムーズなアクセスを特徴とし、後者はファッション志向の強いユーザー向け端末となるようだ。

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