らくらくキーボードやらくらくメニューは
使いやすいか?
らくらくパソコンシリーズの開発では、「わかりやすい操作によってパソコン使用の抵抗を減らし、さまざまなことにチャレンジしてほしい」との想いがあるという。独自のメニューソフト「らくらくメニュー」が用意されているのも、画面タッチでの操作や工夫されたらくらくキーボードなどに加え、パソコン操作の入り口にある敷居を下げるのが目的なのだろう。
インターネット(ウェブブラウズ)、メール、年賀状作成や、写真の閲覧といった「やりたいこと」が、大きなボタンとなって画面いっぱいに配され、インターネット端末のような雰囲気を作り出している。文字やアイコンのサイズ、ポインターの反応などは、「ゆったり設定2」で調節できる。
タッチ機能も充実している。例えばタッチ文字入力では、入力位置が一目でわかるよう工夫され、携帯電話での文字入力のように候補単語を予測しての短時間入力が可能である。タッチする指と表示位置が一致するタッチパネルの利点を生かした手書き認識もスムーズだ。
FH/R3の実売価格は、同社直販サイト「WEB MART」で15万9800円。一方で、ほぼ同等のスペックの「ESPRIMO FH530/1AT」(地デジチューナー内蔵)は14万4400円。らくらくホン7専用スタンドの付属や、専用電話窓口での1年間の無償電話サポート、らくらくキーボードやタッチ文字入力機能の装備などを考えれば、標準的な価格設定と言えるだろうが、割高感は残る。
マーケティング調査の結果、パソコンを使うことに最も抵抗があったのは、高年齢層の女性だったという。テレビCMなどでも対象層に積極的なアピールを行なっていることから、今回のFH/R3も、そこをメインターゲットにしていると思われる。シニア向け携帯電話(らくらくホン7)との連携機能の狙いもそこにあるようだ。
しかし、その層が苦手とする接続ケーブルの多さは改善されていないし、ケーブルを差し込む場所も集約されていない。また、電源ボタンが手の届きにくいところにあり、本体デザインも没個性で地味だ。ノート用の薄型光学ドライブをそのまま搭載するため、トレイ部がひ弱で光学ディスクをセットするときに「壊してしまうのではないか」との恐怖心を増長させる恐れがある。まだまだ多くの課題が残っているようだ。
ESPRIMO FH/R3 の主な仕様 | |
---|---|
CPU | Celeron T3300(2.00GHz) |
メモリー | 4GB |
グラフィックス | Intel GM45 Expressチップセット内蔵 |
ディスプレー | タッチパネル搭載20型ワイド、1600×900ドット |
ストレージ | HDD 500GB |
テレビ機能 | なし |
無線通信機能 | IEEE 802.11b/g/n |
インターフェース | USB×5、10/100/1000BASE-T LAN、PS/2キーボードなど |
サイズ | 幅497×奥行き198×高さ391mm |
質量 | 約10.9kg |
OS | Windows 7 Home Premium 32bit |
価格 | オープンプライス(直販価格 15万9800円) |
筆者紹介─池田圭一
月刊アスキー、Super ASCIIの編集を経てフリーの編集・ライターに。パソコン・ネットワーク・デジタルカメラなど雑誌・Web媒体への企画提供・執筆を行なう一方、天文や生物など科学分野の取材記事も手がける。理科好き大人向け雑誌「RikaTan」編集委員。デジイチ散歩で空と月と猫を撮る日常。近著は「失敗の科学」(技術評論社)、「光る生き物」(技術評論社)、「これだけは知っておきたい生きるための科学常識」(東京書籍)、「科学実験キット&グッズ大研究」(東京書籍)、「やっぱり安心水道水」(水道産業新聞社)など。
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