「TOEIC 600点」の実力を誇るテキスト翻訳アプリ「TexTra」
「VoiceTra」と同時公開された「TexTra(テキスト翻訳 by NICT)」は、文字ベースの翻訳アプリ。音声入力機能を持たないためマイクは必要なく、iPod touchでも利用できる。対応デバイスはiPhone 3G/3GS/第3世代iPod touch(iPhone 4は未検証としている)で、対応OSはiOS 3.1.2以上(iOS 4.0テスト済み)だ。対応する言語は、iOS 3.0ではヒンディ語とベトナム語のキーボード入力がサポートされていないため、「VoiceTra」より少ない19言語(出力は20言語)となっている。
翻訳ソフトの性能としては「おおよそTOEIC 600点の語学力」とのことで、NICTのWebサイトに掲載された翻訳率グラフを見ると、英語にかぎらず他の言語についても、他の多言語対応翻訳ソフトと比較して高品質・高精度であることがうかがえる。
アプリの画面は上下に2分割されており、上側の欄で翻訳元の言語を選択し、空欄に翻訳したい文章を入力して[翻訳する]ボタンをタップすると、あらかじめ下の欄で選択していた言語へと翻訳される。なお、変換はクラウド上で行なわれるため、「VoiceTra」同様にネットワークに接続された状態でなければ利用できない。
翻訳精度だが、「VoiceTra」と同じと考えてよさそうだ。旅行会話を対象としているため、歴史上の人物の名前など固有名詞は認識されないことが多いものの、「ビールをください」と「ビールちょうだい」というどちらの日本語文も、「ビールを下さい」と認識され、それぞれ各国語の適切な言い回しに翻訳される。
ただし、「この電車はサンフランシスコ行き?」とすると、「この列車はサンフランシスコ行き」(This train is bound for San Francisco)となり、「この電車はサンフランシスコへ行く?」とすると「この列車はサンフランシスコへ行きますか」(Does this train go to San Francisco?)と翻訳されるなど、口語的な助詞の用法には対応しないこともあるようだ。もっとも、この場合は「この電車はサンフランシスコへ行きますか?」と本来すべきところなので、教科書的な言い回しを心がければ翻訳精度はより向上するはずだ。
なお、TexTraには、「通常モード(Translate)」と「Translate in Order」という2つの翻訳モードが用意されている。1つの文章を次々と各国語に翻訳できる後者は、各国語の日常会話習得に役立ちそう。翻訳履歴をさかのぼる機能も装備されているので、使いそうな言葉をあらかじめ変換しておけば、旅先でもかなり重宝するのではないだろうか。