このページの本文へ

NVIDIA、プロ向けGPU Quadroシリーズを披露

2010年08月17日 18時46分更新

文● 小西利明/ASCII.jp編集部

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

エルザ ジャパンが販売する「Quadro 5000」(左)と「Quadro 4000」。5000は2スロット占有型で、4000は1スロットで済むサイズ

 NVIDIAは17日、東京都内にて記者説明会を開催し、プロフェッショナル向けのグラフィックスカード「Quadro」シリーズの新製品を披露。Quadroシリーズの優位性や日本でのパートナー戦略などについて説明した。

 今回披露された製品は、2010年7月に米国で開催されたコンピューターグラフィックス関連学会「SIGGRAPH 2010」に合わせて発表済みのもの。いずれも「GeForce GTX 480」などと同じFermiアーキテクチャー世代のGPUを搭載する。カード製品はラインナップ上位から「Quadro 6000」「Quadro 5000」「Quadro 4000」の3製品で、ほかにボックス型の「Quadro Plex 7000アレイ」と、ノートパソコン向けカード「Quadro 5000M」がラインナップされている。いずれもすでにOEM向けに出荷を開始しており、Quadro 5000/4000はすでに販売されている。

新しいQuadroシリーズの製品ラインナップと主な仕様

新しいQuadroシリーズの製品ラインナップと主な仕様

ノートパソコン向けの「Quadro 5000M」

ノートパソコン向けの「Quadro 5000M」。ノート用といってもかなりサイズは大きく、17型クラスのモバイルワークステーションへの搭載を想定した製品

 新しいQuadroシリーズは、OpenGL 4.1やDirectX 11、NVIDIA CUDAに対応するFermiアーキテクチャー世代のGPUを搭載するプロフェッショナル向け製品群。アーキテクチャー自体はコンシューマー向けのGeForce GTX 480などと同じだが、カードにはECC対応のメモリーなどを搭載する。Fermiアーキテクチャーに更新されたことで、特にグラフィックスについてはジオメトリ演算性能が大幅に向上。前世代のアーキテクチャー(G200)ベースの製品と比較して、5倍も複雑なモデルを表示可能となり、シミュレーションで重要な倍精度演算性能は8倍にも達するという。

 説明会でのデモやスライドでは、強力なFermiの演算能力を生かして、風洞シミュレーションや動画のリアルタイム高精細化、3Dモデル上でのテクスチャ編集などが披露された。

独RTT社のCUDA対応風洞シミュレーションソフトのデモ映像

独RTT社のCUDA対応風洞シミュレーションソフトのデモ映像

米MotionDSP社の動画解析デモ

米MotionDSP社の動画解析デモ。ソマリア沖で不審船を追跡中の空撮映像をリアルタイムで高精細化してみせた

英Foundry社の3Dテクスチャ編集ソフトのデモ

英Foundry社の3Dテクスチャ編集ソフトのデモ。CG映像制作などで使われる

 また、コンシューマー向けの3Dステレオ映像システム「3D Vision」を強化したプロフェッショナル向けの「3D Vision Pro」にも対応する。同期信号の伝送に電波を使い、送信機と最大約30m離れても使用できる。

3D Vision Proの特徴

3D Vision Proの特徴。赤外線を使用していた3D Visionと異なり、電波を使用する

 東工大のスーパーコンピューターに大量導入されるなど(関連記事)、日本では教育・研究機関での採用が話題になるNVIDIA GPUベースのシステムだが、新しいQuadroシリーズでは映像制作市場やデザイン市場への市場拡大を目指して、パートナー企業との協業を軸に据えた戦略を採るという。

 ハードウェアベンダーやシステムビルダー、OEMパートナーや対応アプリケーションベンダーを、「QPP」(Quadro Preferred Partner、仮称)と称する認定パートナーとして協業。デジタルコンテンツ制作、放送、医療、製造といった分野に注力して、マーケティング活動を行なうとしている。

QPP認定パートナー各社が販売予定のQuadro搭載ワークステーションの数々

QPP認定パートナー各社が販売予定のQuadro搭載ワークステーションの数々

マウスコンピューターのQuadro 4000搭載パソコン

マウスコンピューターのQuadro 4000搭載パソコン。ハイエンドCPUと組み合わせて28万円程度の価格

 価格は、Quadro 6000が49万8000円、Quadro 5000が22万8000円、Quadro 4000が9万9800円。またマウスコンピューターから、Quadro 4000とCore i7-970プロセッサーを搭載するクリエイター向けパソコン「MDV-ADG9150X-WS」が、同日発売されている。こちらの価格は28万8750円から。

■関連サイト

カテゴリートップへ