WAN高速化の製品を手がけるリバーベッドテクノロジー(以下、リバーベッド)が、いよいよ仮想アプライアンスである「Virtual Steelhead」をリリースした。なかなか正体のつかみにくい仮想版で、リバーベッドはなにを目指すのだろうか?リバーベッドテクノロジーのマーケティングマネージャーである伊藤 信氏に聞いた。
機能もパフォーマンスも同じなので、特徴なし?
リバーベッドが7月23日に発表した「Virtual Steelhead」はVMware ESX 4.0/ESXi 4.0上で動く仮想アプライアンスだ。スペック的なところを話してしまうと、実はこれで記事が終わってしまう。というのも、同社のWAN高速化アプライアンスのOSであるRiOSをVMware環境で動作可能にしたもので、技術的な特徴を完全に引き継いでいるのがメリットといえるからだ。パフォーマンスに関しても物理的なSteelheadアプライアンスと同じで、「コネクション数や最適なWAN容量もほぼ変わらないというベンチマークが出ています」(伊藤氏)とのこと。
モデルに関しては、最適化インターフェイスを2つ持つ中小規模向けモデル「250&550」と4つ持つ大規模向けモデル「1050&2050」があり、各モデルでライセンス購入によって拡張を行なえる。たとえば、最大1Mbpsの帯域、30コネクション対応の「250L」は最大4Mbpsの帯域・600コネクション対応の「550H」まで拡張できる。もちろん、必要なハードウェアスペックは異なるが、需要に合わせてキャパシティを上げられるのは、仮想アプライアンスならではのメリットといえる。
マネージドサービスにも向くが、課題もある
こうした仮想版は同社のクラウド戦略の中心となっており、以前から投入を計画していたものだ。伊藤氏は「仮想化の波が来ており、この市場を取りに行く必要があると思っています。軍事や緊急救援機器、工事現場といった堅牢性を要求される場所や、ハードウェア設置に物理的な制約があるところ。あるいは仮想化を先んじて取り入れている顧客にアピールしていきたいです」と語る。また、単一のサーバーに複数のWAN最適化装置を配置できる点、あるいは全世界規模の環境でも迅速に展開できる点などから、WAN最適化をサービスとして提供するマネージドサービスにも向いているという。
現状、仮想アプライアンスに関しては、果たしてリセーラーにメリットをもたらすのか、サポートはどのように行なうのか、といった課題もある。物理アプライアンスに対するコスト面でのアドバンテージやvMotionによるフェイルオーバーなど仮想環境ならではのメリットも乏しい。とはいえ、セキュリティとともに、レスポンスは必ず挙がるクラウドコンピューティングの課題だけに、リバーベッドの試みは興味深い。同社は、Virtual Steelheadのほか、クラウドサービスとの通信を最適化する「Cloud Steelhead」や、Amazon EC2との検証についても内容をあきらかにしている。拠点同士から端末へ、そしてクラウドへとWAN高速化技術の適用範囲を拡げてきた同社が、今後どのようにクラウド戦略を展開するのか、やはり興味は尽きない。
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