内蔵機能は「中途半端」
コネクターは「携帯系」
では、内蔵アプリを含めた「端末としてのでき」はどうだろう? 結論からいえば、「中途半端」だ。
売りのひとつとなっている「テキストエディタ」は、動作こそ軽いものの、一行の文字数指定や検索置換といった、エディターに求められる機能を満たしていない。パソコンの水準から言えば「簡易エディター」程度といった趣である。画面端での折り返しは、「半角100文字」で固定で変更できない。これはさすがに使いづらすぎる。
最大文字数が5000文字というのも気にかかる。8bitの組み込みプロセッサーで動作するポメラならともかく、このクラスの携帯電話に使われるプロセッサーならば、本来そんな制限はないはず。ソフト上の問題だろうが、売りの機能としてフォーカスするなら解決されていてしかるべきだ。
iモード端末としての性能には問題は感じない。iモードサイトを見たり、デコメールを含むiモードメールを作って送信したりするならば、十分快適といえるだろう。だがiアプリに関しては、一般的な端末とはボタン配置や操作性が異なるため、かなり違和感を感じる部分があった。
他方で、横長画面に最適化され、N-08Bでの利用を想定したiアプリならば、驚くほど快適に使える。特にjig.jpが公開中のTwitterクライアント「jigtwi」(先行ベータ版であるVer.1.6.0b)は、動作速度といい操作性といい、スマートフォン向けTwitterクライアントに勝るとも劣らない。N-08Bのキラーアプリといっても過言ではなく、N-08B購入者にはぜひ試してしていただきたい。
内蔵フルブラウザーについては、携帯電話に搭載されているものと同じコンポーネントのようで、表示能力は悪くない。だが、動作速度や拡大縮小の操作性などは、最新のスマートフォンに比べ明らかに劣る。PCサイトを見るために選ぶなら、N-08BでなくLYNXを選ぶべきだ。
そのほかに、「ああ、こんなところも携帯電話なんだなあ」と思ったのは、ヘッドセットや充電機器をつなぐための端子である。ヘッドセットは3.5mmピンジャックではなく平型端子だし、充電端子もmicro USBでなく、ドコモの携帯電話用端子だ。携帯電話でこれらの機器を使っている人は、そのまま流用が可能である。
とはいえ、平型のイヤホンマイク端子では、好きなヘッドホンをつなぐのに変換ケーブルが必要になる。また、電源用クレードルは用意されておらず、充電端子はカバーに隠れている。このカバーは意外と固く、取り外しがとても面倒に感じた。コネクターは奥まっているので、一部の非公式充電器(コンビニで売られているような電池を使うもの)の中には、つなげられないものもあるだろう。一般的な携帯電話からはサイズも機能も逸脱したこの端末で、携帯電話に合わせた端子を利用する意味は薄いのではないか、と感じる。
操作性の面でも、「携帯電話」であるがゆえの理不尽さも少なくない。アプリの切り換えや呼び出しが微妙に「もっさり」しているし、その操作も面倒だ。iモードや主要機能の呼び出しにはショートカットキーが割り当てられており、それを生かすとずいぶん改善される印象だが、iPhoneやAndroid採用のスマートフォンに比べると、自分が好きな機能を組み合わせるダイナミズムに欠ける。
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