このページの本文へ

西田 宗千佳のBeyond the Mobile 第53回

ケータイでありつつフルキーボード N-08Bの実力は?

2010年08月13日 12時00分更新

文● 西田 宗千佳

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

内蔵機能は「中途半端」
コネクターは「携帯系」

 では、内蔵アプリを含めた「端末としてのでき」はどうだろう? 結論からいえば、「中途半端」だ。

内蔵のテキストエディタ

内蔵のテキストエディタ。簡易エディターレベルなので、パソコンのエディターを想像すると不満を感じるだろう。メールの下書きなどに使うものと割り切ろう

 売りのひとつとなっている「テキストエディタ」は、動作こそ軽いものの、一行の文字数指定や検索置換といった、エディターに求められる機能を満たしていない。パソコンの水準から言えば「簡易エディター」程度といった趣である。画面端での折り返しは、「半角100文字」で固定で変更できない。これはさすがに使いづらすぎる。

文字入力画面

文字入力画面。推測変換はエディターで使う時はオン・オフ可能。かなり変換効率は良好で、使い勝手は悪くない

 最大文字数が5000文字というのも気にかかる。8bitの組み込みプロセッサーで動作するポメラならともかく、このクラスの携帯電話に使われるプロセッサーならば、本来そんな制限はないはず。ソフト上の問題だろうが、売りの機能としてフォーカスするなら解決されていてしかるべきだ。

 iモード端末としての性能には問題は感じない。iモードサイトを見たり、デコメールを含むiモードメールを作って送信したりするならば、十分快適といえるだろう。だがiアプリに関しては、一般的な端末とはボタン配置や操作性が異なるため、かなり違和感を感じる部分があった。

 他方で、横長画面に最適化され、N-08Bでの利用を想定したiアプリならば、驚くほど快適に使える。特にjig.jpが公開中のTwitterクライアント「jigtwi」(先行ベータ版であるVer.1.6.0b)は、動作速度といい操作性といい、スマートフォン向けTwitterクライアントに勝るとも劣らない。N-08Bのキラーアプリといっても過言ではなく、N-08B購入者にはぜひ試してしていただきたい。

iアプリ版Twitterクライアント「jigtwi」

N-08Bのキラーアプリともいえる、iアプリ版Twitterクライアント「jigtwi」。横画面やフルキーボードなど、N-08Bの特性に合わせたカスタマイズがされていて、とても使いやすい

 内蔵フルブラウザーについては、携帯電話に搭載されているものと同じコンポーネントのようで、表示能力は悪くない。だが、動作速度や拡大縮小の操作性などは、最新のスマートフォンに比べ明らかに劣る。PCサイトを見るために選ぶなら、N-08BでなくLYNXを選ぶべきだ。

内蔵フルブラウザーでの表示画面。iPhoneやAndroidなどのWebKit系ブラウザーに比べると、動作速度に難を感じる

 そのほかに、「ああ、こんなところも携帯電話なんだなあ」と思ったのは、ヘッドセットや充電機器をつなぐための端子である。ヘッドセットは3.5mmピンジャックではなく平型端子だし、充電端子もmicro USBでなく、ドコモの携帯電話用端子だ。携帯電話でこれらの機器を使っている人は、そのまま流用が可能である。

本体右側面を裏から

本体右側面を裏から。側面にあるのは平型のイヤホンマイク端子で、しっかりした作りのコネクタカバーに隠されている。しっかりしすぎていて、慣れるまでは逆に外しにくい

 とはいえ、平型のイヤホンマイク端子では、好きなヘッドホンをつなぐのに変換ケーブルが必要になる。また、電源用クレードルは用意されておらず、充電端子はカバーに隠れている。このカバーは意外と固く、取り外しがとても面倒に感じた。コネクターは奥まっているので、一部の非公式充電器(コンビニで売られているような電池を使うもの)の中には、つなげられないものもあるだろう。一般的な携帯電話からはサイズも機能も逸脱したこの端末で、携帯電話に合わせた端子を利用する意味は薄いのではないか、と感じる。

 操作性の面でも、「携帯電話」であるがゆえの理不尽さも少なくない。アプリの切り換えや呼び出しが微妙に「もっさり」しているし、その操作も面倒だ。iモードや主要機能の呼び出しにはショートカットキーが割り当てられており、それを生かすとずいぶん改善される印象だが、iPhoneやAndroid採用のスマートフォンに比べると、自分が好きな機能を組み合わせるダイナミズムに欠ける。

カテゴリートップへ

この連載の記事

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン