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いま旬のビジネスPC 第16回

液晶一体型は企業導入にメリットを提供できるか

Lenovo対HP、注目の液晶一体型PCを比較する

2010年08月09日 09時00分更新

文● 花茂未来/インサイトイメージ

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導入規模と要求スペックを考えることが大切

 企業での導入となれば、PCが低消費電力であるほどTCO削減にもつながる。そこで、「CrystalMark2004R3」実行中の両PCの消費電力を計測した。

Compaq 6000のベンチマーク結果

M90zのベンチマーク結果

 CPUの処理能力を計測している最中の最大消費電力は、Compaq 6000が91W、M90zは98Wとなった。2D、3D描画性能の処理能力計測時は、Compaq 6000が95W、M90zは96Wという結果だった。なお、アイドル時は両機種とも変わらず78Wだ。

 CPU性能計測時の最大消費電力を比較すると、Compaq 6000のほうが7W低いことになる。仮に1日あたり12時間、365日使用すると仮定して、東京電力の一般家庭向けプラン「重量電灯B」で1年間の電気代を試算すると547円の差が生まれる。ただし、電気料金プランは企業・ビルごとの専用プランがあるので、あくまでも一例としてとらえてほしい。

 ここで問題となるのが、この7Wとという消費電力の違いだ。SOHO企業などで仮に10台のCompaq 6000を導入するとして、M90zとの消費電力の差は70W、年間6259円の節約になる。これが300台の導入ともなれば2100W、年間22万967円の節約ができることになる。

 両PCの性能を知る上で、ベンチマーク結果も記録した。ただし、M90zは最新パーツで構成され、一方のCompaq 6000はコストパフォーマンスを重視した1世代前のパーツ構成となっているので、当然ながら差は開くことになる。あくまでも参考程度にとらえてほしい。


メンテナンス性も良くなった

 一昔前の一体型PCといえば、ユーザーの手で内部パーツにアクセスすることはほぼ不可能だった。しかし、今回の2機種はメンテナンス性の良さが目立つ。

 内部パーツのアクセス性に関しては、M90zはツールレスかつワンタッチで背面パネルが丸ごと外すことができ、HDDとメモリー交換が可能だ。Compaq 6000は硬貨などで中央にあるパネルを外してから、左右2枚のパネルを外す仕組みとなっている。

Compaq 6000の背面パネルを外している様子

90zの背面パネルを外している様子

 こうしたメンテナンス性の良さは、万が一PCが故障し、早急に復旧する必要性が生じたときに安心できるだろう。特にHDDはPCパーツの中でも壊れやすい部類に入るため、容易に交換できれば業務停止時間を最小限に抑えられる。


使いやすく管理性に優れる一体型PC

 今回の2機種の比較では、M90zは最新パーツで構成されているぶん、基本性能は高かった。価格との兼ね合いもあるが、処理能力を必要とする業務ならば、高性能な機種を選びたいところだろう。画面が23型ワイドと大きく、タッチパネルという誰でも直感的に使えるインタフェースを備えている点も好印象で、機能性にこだわった一体型機と言える。

 Compaq 6000も書類作成が中心のビジネス用途としては十分なスコアであった。消費電力も低く、価格的にも安価である。大量導入を考えるなら、こういった調達コストの低さは重要なポイントになってくるだろう。

 また、水平方向に360度回転する台座や、手前にもチルトが可能である点は、活用の場が広がる。先にコンシューマー向けで出た製品をビジネス用にも転化した点が生きているように感じる。もちろん使いやすさは、ビジネスの場面でも有効活用できる特徴だろう。

*

 冒頭に述べたように、液晶一体型PCのメリットは、ノートPCに引けをとらない省スペース性、デスクトップPC並みの処理能力、高解像度で大きな液晶ディスプレー、ケーブリングのしやすさなどが挙げられる。

 省スペースゆえに犠牲になる部分が多かった一体型PCだが、性能面でもメンテナンス性の部分でも一定の水準は超えており、価格も10万円台前半と比較的リーズナブルなところに収まってきている。

 もしビジネスPCの新規導入を考えているなら、デル、レノボ、そして今回のHPと、強豪3社が参入し、しのぎを削り始めた一体型PCは一考の価値があると言える。

評価機「HP Compaq 6000 Pro All-in-One Desktop PC」の主な仕様
CPU Core 2 Duo E8500(3.16GHz)
メモリー 4GB
グラフィックス Q43 Express チップセット内蔵
液晶ディスプレー 21.5型ワイド 1920×1080ドット
ストレージ HDD 250GB
無線通信機能 なし(BTOでIEEE 802.11b/g/n搭載可能)
インターフェース USB2.0×7、DisplayPort、1000BASE-Tほか
サイズ 幅545.5×奥行き220.09×高さ428.56mm
重量 8.25kg
OS Windows 7 Professional 32bit版
直販価格 10万9200円
評価機「ThinkCentre M90z All-In-One」の主な仕様
CPU Core i5-650(3.2GHz)
メモリー 4GB
グラフィックス CPU内蔵
液晶ディスプレー 23型ワイド 1920×1080ドット(タッチパネル)
ストレージ HDD 320GB
無線通信機能 IEEE 802.11b/g/n
インターフェース USB2.0×6、DisplayPort、1000BASE-Tほか
サイズ 幅560×奥行き116×高さ443mm
重量 約11.5kg
OS Windows 7 Professional 32bit版
直販価格 15万8760円

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