iPhoneを3台つないで弾きまくる
最新の音色を使ったオシャレな演奏が続いた中で、ひときわ異彩を放っていたのが「マネトロンズ」(マネトロン)だ。機材構成は恐ろしくマニアック。そして演奏するのは前時代的なプログレッシブロック。最新の機材を使いながら、出てくる音は古くさい。ううむ。
メンバーはまずこのイベントの主催の山崎潤一郎さん。その山崎さんと「PocketOrgan C3B3」(公式サイト)を開発し、大ヒットアプリ「PocketGuitar」(公式サイト)を生み出した笠原真也さん。
そしてITmediaの編集者としておなじみの松尾公也さん。彼は3台のiPhoneを「EZ100」というギター型スピーカーに仕込んで登場。それぞれギターアプリの「PocketGuitar」「iShred」(公式サイト)、そしてiShredのアコースティック版である「Guitar」(公式サイト)を使い分けるという凝りようだ。
そして用もないのに「PocketOrgan C3B3」のリバーブクラッシュを多用する堀越功さん、Macbookでリズム隊を再現する有馬知章さん、ボーカルとサックスの武藤正人さんの計6人で、フォーカス「シルビア」、キング・クリムゾン「クリムゾンキングの宮殿」、EL&P「エルサレム」を演奏。松尾さんはエルサレムでボーカルも披露したが、そのグレッグ・レイクばりに素直なハイトーンは、お世辞抜きに上手いと思った。
ところで「PocketGuitar」には、そろそろ新型が登場するらしい。作者の笠原さんによれば「今回はエフェクターが充実している」とのこと。発表時期は「たぶん白いiPhone4より早いと思うんですけど」ということだった。
アプリ同様バラエティに富んだイベント
ラストはiTunes Storeで数多くのアルバムを発表しているプロギタリストにして、ガジェット楽器愛好家の秋山公良さん。
今回は、様々なアプリを切り替えまくって、一人(正確にはサポートあり)でアクロバティックな演奏を展開。ディープ・パープルの「Space Truckin'」からインスパイアされたiPad応援ソングという「iPad Star」を披露した。
孫さんに聴いてほしいそうなので、孫さん聴いて!(ちなみにボーカルは初音ミク)
ざっと見た印象は、バラエティに富んだイベントだったなあということ。これまでDS-10やElectribeを使ったイベントはあったが、クラブ寄りのコアな内容になってきていて、一般的にはかなり敷居が高くなりつつある。
その点、バリエーション豊富なiPhoneアプリを使ったイベントはまだ珍しいし、無料ということもあって客層も幅広かった。主催の山崎さんによれば、今後もぜひやっていきたいということなので、期待していようではないか。
著者紹介――四本淑三
1963年生まれ。高校時代にロッキング・オンで音楽ライターとしてデビューするも、音楽業界に疑問を感じてすぐ引退。現在はインターネット時代ならではの音楽シーンのあり方に興味を持ち、ガジェット音楽やボーカロイドシーンをフォローするフリーライター。