1200台のサーバーで年間5500万円以上のコスト削減
日本SGIが提供するSGI ICE Cubeは独自の水冷技術を用いたモジュラー型データセンター。各ラックの間にラジエタを配置し、大型ファンを用いて冷たい空気を循環させることで、効率的な冷却が行なえる。もともとはSGI製ハーフデプスサーバーを収納するデュアル・ロー・モデルのみ用意されていたが、標準の19インチラックに対応するユニバーサル・モデルも発表され、選択肢が拡がった。現在はコンテナの長さ(20フィート/40フィート)、冷却方式(水冷/空冷)、ラック設置方法(ロールイン/固定)などの違いで、8モデル用意されている。
さて、このSGI ICE Cubeと従来のデータセンターを比較した場合、電力コストは最大50%、冷却コストも最大80%削減できるという。このうちわけを見ると、まず91.2%という高い電源変換効率を実現するSGIの整流DCの採用で通常のAC/DC変換に比べてアドバンテージがあるほか、エネルギー効率を示すPUE(Power Usage Effectiveness)でも大きな電力量の差が現れる。サーバーの消費電力を300W、Kwhの電力料金を15円、そして20フィートコンテナに1200台のサーバーを搭載すると考えると、年間でなんと5597万6400円のコスト削減がはかれるという。これらは電力コストのみなので、設備コストの削減や増設に人件費を加えると、より大きなコスト削減が図れる。「海外はすでに当たり前になっており、運用コストがものすごく下がります」(増月氏)。
日本ではモジュラー型データセンターの建築が進んでいないのが現状だが、これには法規制や土地の問題が背後にある。確かに法規制に関しては、建築基準法や消防法、道路交通法などをクリアする必要があるが、日本SGIでコンサルティングサービスを提供しているという。また、土地に関しては都市型にこだわらなければ、地方都市の工場遊休地など、利用可能な敷地はけっこうある。また、そもそもコンテナ=屋外というイメージがあるが、セキュリティの完備された建物等に設置してしまうという方法もある。設置も容易で、「80ラック分を導入する場合を見ると、コンテナだけだと設置までに30分で済みますし、水冷用の媒体と電気、ネットワークを引くところまででも2~3時間くらいで使えます」(増月氏)とのこと。今後は、社内の余ったスペースを活かし、プライベートクラウドをモジュラー型データセンターで自社運用といった例も出てくるかも知れない。
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