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週刊 PC&周辺機器レビュー 第66回

理科好き大人必見! 夏こそ楽しいデジタル顕微鏡

2010年08月06日 12時00分更新

文● 池田圭一

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あらゆるものを拡大して観察
楽しくて仕方がない!

綿の茎の断面

綿の茎の断面(染色済)。1280×960ドットで撮影(掲載用に800×600ドットに縮小した以外は無加工)

 EV5610とGE-5の撮影サンプルとして、いろいろなものを観察してみた。まずは、EV5610付属のプレパラート(染色済みの植物切片標本)を、透過照明で見てみよう。

綿の茎の断面を動画モードで撮影。約20秒ごとに40/100/400倍を切り替えている。ステージ微動装置(左右)や、ステージ上下(ピント)ダイアルの動きもチェック

 下のガラス細工のような美しい透明な被写体は、カボチャの花の花粉だ。スライドグラスの上に振り落として、透過照明と落射照明で観察した。

透過照明で撮影

カボチャの花粉を下からの透過照明で撮影。輪郭や内部の様子が観察できる

落射照明で撮影

こちらは上からの落射照明で撮影。色や表面の立体構造が観察できる

 たった1灯の白色LEDライトによる落射照明だが、40倍での使い勝手はよく、植物や昆虫の拡大観察に役立つだろう。使っていると知的好奇心が刺激され、次に何を見ようかとワクワクする気持ちを抑えるのがたいへんだ。

 続いてはGE-5のサンプルである。やはり照明機能が充実しているため、明るくきれいに撮影できる。色の再現性もよく、いろいろなものを拡大撮影して楽しめそうだ。

グミの葉の表面

グミの葉の表面を拡大。何気ない植物も拡大すると新たな姿となって目に飛び込んでくる

サルスベリのおしべと花粉

サルスベリのおしべと花粉。180倍にすると、極小の花粉なども鮮明にとらえられる

ラブラドライト

鉱物の「ラブラドライト」。落射照明と透過照明を併用すると、鉱物の内部の様子も見えてくる

 GE-5専用ソフトの画像解析機能を用いて、微細なものの測定にも使える。また、同一のものを観察するのに、60倍と180倍を使い分けられるのもいい。

有孔虫の殻である「星砂」。60倍(左)と180倍(右)の見え方の違いを確認

 一方で、GE-5は静止画も動画も1280×1024ドットのみ。また、動画といっても秒2~3コマのため、生物のリアルな動きを記録できるわけではない。Motion JPEGで記録されているので、連続したコマの中からベストの1枚を選ぶのに使うとよいだろう。

電子基板

カメラ本体部分だけを取り外すと、電子基板などステージに置けないものも観察できる

顕微鏡写真を美しく見せる「多焦点合成」

 被写界深度が極めて浅い顕微鏡写真では、ピント位置をずらしながら複数の写真を撮影し、個々の写真からピントの合っている部分だけを抽出合成する技術「多焦点合成」がよく用いられる。特に立体的な標本では有効な技術だ。

 EV5610もGE-5も設定間隔ごとの自動撮影機能を持っている。観察中にゆっくりとピント調整ダイアルを回せば、ピント位置の異なる連続した写真が撮れるので、多焦点合成処理を行なうのに便利だ。合成はフリーソフトで処理できるので興味のある人はチャレンジしてほしい。下のサンプルではフリーの画像解析ソフト「Image J」と、同じくフリーのプラグイン「StackReg」「Stack Focuser」「Extended Depth of Fieldプラグイン」を使用した。

EV5610で撮影し、多焦点合成したアリの顔。左が単カットで、右が10カットから多焦点合成後

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