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週刊 PC&周辺機器レビュー 第66回

理科好き大人必見! 夏こそ楽しいデジタル顕微鏡

2010年08月06日 12時00分更新

文● 池田圭一

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オールインワンの本格派生物顕微鏡 aigo EV5610

EV5610

EV5610

 EV5610のような「生物顕微鏡」とは、主に生物切片などの標本をセットし、下から光をあてて上部のレンズに透過イメージを導くものだ。EV5610はしっかりとした金属製ボディーを持ち、生物顕微鏡に求められる装備をひととおり備えている。

 台座部分には透過照明のLEDライトがあり、アームの中ほどにも上から光をあてる落射照明用のLEDライトを備える。アーム下部の左右にあるダイアルを回すと、プレパラートを置くステージが上下するほか、ステージ部分にはプレパラート押さえと左右前後の微動調整装置もある(取り外し可能)。

本体の左右側面。下から台座、透過照明、ステージ上下微動ダイアル、ステージ(観察台)、アーム中ほどに落射照明。対物レンズはターレット式で、鏡筒の上にカメラと液晶ディスプレーがある

 対物レンズは4倍、10倍、40倍の3種類を備え、ターレットを回して使い分ける。微動調整装置や落射照明などは、かなり本格的な生物顕微鏡でなければ装備していないものだが、安価なEV5610がこれだけの機能を備えているのは正直驚いた。

操作部分の拡大

操作部分の拡大。透過照明の横(写真では手前)にあるローマ数字の書かれたダイアルが照明の切り替えダイアル。台座側面(写真では一番下)には光量調整ダイアルがある。ステージ上下微動ダイアルの動きもよく高精度だ

ステージ裏には透過照明用のカラーフィルターも備える

ステージ裏には透過照明用のカラーフィルターも備える

ターレット部分には3種類の対物レンズを装着

ターレット部分には3種類の対物レンズを装着。回転させて倍率を切り替える

 上部を見てみよう。鏡筒内部にある10倍の接眼レンズを通った光は、1/3型・200万画素のCMOSイメージセンサーに導かれ、最終的に3.5型の液晶ディスプレーに映し出される。液晶ディスプレーの左側面には、カバー内にSD/SDHCメモリーカード/MMCスロットとUSBコネクターがある。

 前面の画面下にあるボタンを操作すると、撮影時の画面サイズ(640×480~2048×1536ドット)や自動連続撮影時の撮影間隔、静止画/動画の設定が可能だ。なお、静止画はJPEG、動画は3gp形式で、動画の解像度は320×240ドットとなっている。本体のディスプレー上で、記録した写真や動画の再生も可能。操作メニューは英語だが、デジカメユーザーならば戸惑うことは少ないだろう。

ディスプレー部の操作パネル

ディスプレー部の操作パネル。「SNAP」が撮影ボタン。画面には露出補正やデジタルズーム倍率値が右下に表示されている。静止画撮影モードは、シングルとコンティニアス(自動継続)の2つ。撮影間隔は1秒~99分59秒まで設定可能

 EV5610では、付属品についても触れておかねばなるまい。「本当にこれもいっしょについてくるの?」と確認したくなるほど豊富なのだ。

 本体をすっぽり格納し、ストラップで肩から提げて持ち運べる専用ケースをはじめ、ケースにセットされている観察用セットとして、解剖用ハサミから薄片標本作成用のスライサー、生物観察用のルーペ付きセルケース、そのほかに染色済みのサンプルプレパラートのセットなどが同梱されているのだ。

付属品

とりあえず必要な用具が同梱されている。「今日から君も生物学者!」といった雰囲気だ

付属ケース

本体と用具一式を携行できるケースも付属。旅先や帰省先でも楽しめる

 そのほかにも、マニュアルにはなぜか記載されていないが、ブラインシュリンプ(いわゆるシーモンキー)育成用のキット(乾燥休眠卵、人工海水、エサのイースト菌)も入っている。「シーモンキーを育てて、顕微鏡で観察しよう!」ということか。

 顕微鏡本体が本格派なだけに、操作には若干の慣れが必要かもしれないが、これ一式ですぐに始められるのがうれしい。撮影した画像も美しく、小中学生の自由研究はおろか、大人の趣味としても十分実用的である。

 ひとつだけ惜しいと感じたのは、デジカメ部分と照明に電源が必要なことだ(ACアダプター付属)。台座部分に乾電池でも入れば、屋外に持ち出してすぐに観察・撮影できるだけの簡易さがあるだけに残念だ。

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