図書館の魅力は、本棚にアリ
―― 個性という点でいえば、「図書館ならでは本」で紹介されているように、それぞれの図書館でしか読めない文献もけっこうありますよね。
Takeni 郷土史はその典型例ですね。地元の団体がまとめた郷土史だけでなく、ご自分で地元の事をまとめた本を最寄りの図書館に寄贈される方もいらっしゃいますし。そうした書籍コードがついていない本が読めるというのは、ならではのメリットといえます。
あと、図書館の業務は「本を貸すこと」ではなく、「情報を誰でも閲覧できるようにすること」なので、本以外のものを扱っているところも多いんですよ。CDやDVDは昔から多いですし、オモチャやカルタを貸してくれるところもあります。最近はインターネット環境を提供する取り組みも増えていますね。そのあたりも図書館ならではの魅力だと思います。
―― 書店との違いは、単に「借りる・買う」だけでないわけですね。
Takeni そうですね。あと、個人的に重要だと思うのは、本棚の並びの違いですね。書店だと、どうしても新刊と現在売れている本が多数を占めるじゃないですか。それが図書館だと、発行した年代や売れ行きは関係なく、カテゴリ別に並べられているわけです。探している本が特になくても、なんとなく棚を眺めていて、「あ、懐かしい!」という本に出会ったり、数十年前と最近の本が同じような問題提起をしていたり。そういう楽しみ方ができるんですよね。
―― たしかに、「Twitterをビジネスに活かす」という本と「パソコン通信が企業を変える」という本が書店で隣り合わせになっていることはないですね(笑)。
Takeni そういう、時代を超越した並びの妙みたいなものが味わえるんですよね。本棚を眺めるだけで、誰も意図しないような隠れた情報に触れられることもありますし、そういう面白さに触れると、もう何度でも足を運びたくなります(笑)。
―― ちなみに、最近は電子書籍の台頭が注目されていますが、図書館にもその影響が及んでいたりしますか?
Takeni どうでしょうね、まだ日本では未知数なところもありますし。ただ、奈良県には、iPadが出る前から電子ブックリーダーごと電子書籍を貸し出すというサービスを行った図書館がありましたね。都内では、千代田図書館が「千代田Web図書館」というオンラインサービスを2007年から始めています(サイト)。IDとパスワードを入力して、借りたい電子書籍をクリックすると一定の期間閲覧できるというサービスです。
なので、新たな情報媒体が登場しても、その都度けっこう柔軟に対応していくと思いますよ。
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