世界で唯一のウダー職人にして数少ない奏者
―― ところでウダーを弾ける人は宇田さんだけ?
宇田 私の友人と、過去に少しだけウダーを売っていますから。
―― おそらく数人ということですよね。だったら量産にあたってウダーを弾くためのメソッドが必要ですよね。
宇田 そうですよね。私はすいぶん弾けるようになったのでいいんですけど。
―― とりあえずギターのタブ譜みたいなものは必要かも知れませんね。
宇田 それでアナログ時計を横から見たようなものを考えて、それを学研の編集長に伝えたところ「分からない」と。
―― はははは。
宇田 見る側に脳みそを使わせてしまう表記になってしまうんですね。それで全部のポジションに番号を打ったりとか、試しにやってみているんですが。
―― たとえば僕は学研のテルミンminiを見て、ムーグのテルミンを買ってしまったんですが、ウダーもそういう需要はあるかも知れません。オリジナルウダーの量産計画はないんですか?
宇田 もちろん開発はしますし、自分のメイン楽器として使うので作るんですが、それを売ってくれと言われたときに、どうするか。以前、自分で作って売りはしたんですけど、作るのがとても大変で。だけど高い値段を付けてもいいかというと、自分の感覚ではそんなに高い値段は付けたくない。
―― でもウダーが欲しい人は、あなたの時間を買うしかないわけですよ。
宇田 会社を大きくするのとか、そんなことするのかなあ、自分が。まあ細々とやるのが正解のような気もしますね。お金で動くようになると、売れる売れないで、続ける続けないかが決まってしまうので。あんまりお金に興味ないんです。自分で生きていけるだけあればいいので。
―― それにしても淡々としてますよね。
宇田 まあ私はウダーを作っていることが普通だと思っているので。ウダーを思いついたときに10年やってみようと思ったんです。だから、これからまた10年っていう感じですね。
著者紹介――四本淑三
1963年生まれ。高校時代にロッキング・オンで音楽ライターとしてデビューするも、音楽業界に疑問を感じてすぐ引退。現在はインターネット時代ならではの音楽シーンのあり方に興味を持ち、ガジェット音楽やボーカロイドシーンをフォローするフリーライター。
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