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四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 第32回

会社はやめて、電子楽器と生きてます 宇田道信さんの人生

2010年07月31日 12時00分更新

文● 四本淑三

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感圧センサーまでハンドメイド

―― このロープのようなものに、何かセンサーが入っているんですか?

宇田 いえ。このロープは指で押さえるポジションのガイド役で、実際にはこの下の黒い円筒部分に感圧センサーが入っているんです。

―― 音程の数だけセンサーが付いているわけですか?

宇田 いいえ。無段階な音程を表現するために、もっとたくさんのセンサーが入っています。一つの指で押さえたときに、複数のセンサーが反応して、指の圧力がどこにかかっているかを検出するんです。

たくさんセンサーが入っている

―― 全部でいくつのセンサーが入っているんですか?

宇田 1つの指で押さえたときに4つのセンサを使います。だから1オクターブに48個、これが8周あるので384個ですね。その情報を常にマイコンで検出しています。

―― それはどんな種類のセンサーですか?

宇田 ウダーに合った感圧センサーがなかったので、センサーは自作です。感圧導電ゴムというシート状のゴムで出来た素材です。押さえることで滑らかに抵抗値が変化するんです。

―― センサーの誤差もあるから補正が大変じゃないですか。ゴムに384個の電極を付けるわけですよね?

宇田 そうですね。音が鳴りっぱなしになったりして、そういう場合は失敗です。多少の違いはプログラムで補正しますが。

―― その歩留まりの悪さが、ウダーが量産に向かない理由ですね。

宇田 はい。

―― ウダーの音源は何ですか?

宇田 あの箱にSC-8820というMIDI音源が入っています。ただ、こういう構成にしたのは、将来はMIDIを使わず専用音源を使いたいと思っているからです。MIDIの転送レートがウダーにとっては遅すぎるんですね(MIDIのデータ転送レートは31.25Kbps)。あとMIDIデータフォーマットとウダーの相性も良くないです。

「あの箱」こと、クーラーボックスを利用したウダーの音源部分。ウダーのケーブルはここに接続される。MIDIインターフェイス、MIDI音源、アンプとスピーカーを内蔵。電池駆動式で屋外でも演奏できる。クーラーボックスにしたのは「椅子にちょうどいいサイズだったから」らしい

SC-8820 : RolandのGS/GM2対応のMIDI音源

―― MIDIで吐き出す情報が多いんですね。

宇田 もうひとつ、転送レートの問題とは別に、ウダーといえばこの音だという、専用の音源を作りたいとも思っているんですね。ウダーという楽器固有の音を持たないといけないと思うんです。それが将来やりたいことです。

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