libretto W100に続く「東芝ノートパソコン事業25周年モデル」レビューの第2弾は、「dynabook AZ」を選んだ。libretto W100はデザインこそ突飛ではあるが、中身はまさにパソコンだった。だがこちらは逆に、デザインこそパソコンだが中身はパソコンではない。OSにAndroidを使ったAZは、どんな感じの製品にまとまっているだろうか? AZの試作機から、その可能性を探ってみよう。
なお、今回評価したのは試作機であり、外観写真も含めて製品では細部が異なる可能性がある。
サイズ・省電力性能で光る「Tegra 250」の力
すでに述べたように、dynabook AZはまさにパソコン的な外観である。10.1型のディスプレーにフルキーボード、タッチパッドと、操作系もパソコンそのものだ。
OSはWindowsでもPC Linux系でもなくAndroid 2.1。CPUを含むSoCとしては、ARM系コアを搭載したNVIDIAの「Tegra 250」を採用している。この組み合わせは、本来スマートフォンやスマートブックのものである。本連載で取り上げた製品では、シャープ製の「IS-01」や「NetWalker」も似た組み合わせと言える。
「ネットを使うのが主な用途であるならば、別にWindowsである必要はない。スマートフォンが実用的に使えるんだから、ノートパソコンの中身をスマートフォン的アプローチで作ったっていいはず」という発想だ。
実際、AZをハードとして見ると、Windows+x86アーキテクチャーでないことのメリットはいろいろ感じられる。いくつかの軽量ノートと違い、失礼ながらAZは特別に手のこんだ作りの製品には見えない。だが重さは約870gと軽く薄い。持ち運びには便利だと感じた。
バッテリー駆動時間も十分だ。Windows機と同じ基準でベンチマークをとるのが難しいため、あくまで体感的な情報となるが、無線LANでウェブブラウズをしながら3時間程度使っても、バッテリーは目盛りの目算で20%程度しか減らなかった。カタログ上の表記では、「動画再生で7時間」となっている。ほかのスマートブックより容量の大きなバッテリーを搭載しているため、この点ではあきらかに有利だ。
また、負荷が高まっても本体の発熱は高くならないのもポイントだ。動画再生時とウェブ閲覧時で発熱をチェックしたが、明確な温度差は認められなかった。このあたりも魅力的だ。
なおバッテリーを外してみると、そこには携帯電話サービス用のSIMカードスロットとおぼしきものが見つかる。東芝に確認したところ、スロットそのものは日本版にも存在するようだが、内蔵通信系は無線LANのみの搭載で機能していない。今回掲載している画面は試作機のものなので、「いかにもSIMカードの刺さっていない携帯電話で出るような警告」が、画面上方に表示されている。だが、これはあくまで試作機上の話。
正直なところ、このクラスの機器で通信を使わないことはあり得ないので、3GモデムとSIMカードスロットは標準搭載してほしかった。

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