WR8170Nの実効スループットは約94Mbps
無線LANルーターの性能評価として有線LANおよび無線LANの実効スループットはやはり気になるところだ。AtermStation(Atermシリーズ製品の公式サイト)でWR8170Nの製品情報を見ると、同社が測定した有線LANおよび無線LANの実効スループットが製品情報として掲載されている。それによると有線LANの実効スループットはローカルルータで約94.1Mbps、PPPoEで約93.6Mbps、無線LANの実効スループットは約93.5Mbpsである。
有線LANについてはサーバーおよびクライアントに使用する機器の性能が影響する可能性はあるが、ほぼ測定データと同程度の実効スループットになるだろう。しかし、無線LANの実効スループットについては、各家庭に飛び込んでくる周辺の電波の影響などで、必ずしもウェブサイトなどで公表されているような実効スループットの値が出るとは限らない。
同社でも木造2階建ての家屋で測定した実効スループットをAtermStationの製品情報の中で公表している。筆者の自宅はコンクリート造の集合住宅なので、このあと筆者の自宅で測定した結果は似たような住環境の人に参考になるのではないかと思う。
まず、WR8170Nの実効スループットを測定するための機器構成を紹介しておこう。筆者宅での測定環境は下記の図の通りである。
同社の測定環境とまったく同じ処理能力をもった機器ではなく、現在の最新モデルとは言えない機種で構築した測定環境である。
WR8170Nの実効スループットの測定は、FTPサーバーとクライアント間でファイル(300MB)のダウンロード/アップロードをそれぞれ10回行い、最大と最小の2つを除いた8回分のデータの平均を取ることにした。WR8170Nの設定はローカルルータモードとし、WAN側IPアドレスをDHCPで取得するのではなく固定のアドレスを割り当てた。それ以外は無線LANの暗号方式などの設定も含めて工場出荷時のままである。クライアントPCはウイルスバスターを稼働させた。実際にインターネットを利用するのと同じ状態を想定し、Ethernetの通信速度に関する設定は一切変えずOS標準設定のままとした。
それでは有線LANの実効スループットを測定した結果からお伝えしよう。
ウェブサイト公表されている有線LANの実効スループットはローカルルータモード設定で約94.1Mbpsである。筆者宅で測定した結果も約94Mbpsの実効スループットを確認できた。実装しているEthernet(100BASE-TX)の100Mbpsの通信帯域を余すことなく使っていると言えるだろう。Aterm無線LANルーターの有線LANの実効スループットには定評がある。今回の測定でもそれを確認する結果となった。
次に無線LANの実効スループットの測定結果である。クライアントPCは有線LANの測定と同じPCを使い、WR8170Nとのセットモデルも用意されている「WL300NU-AG」を無線インタフェースとして測定した。
宅内の測定ポイントは3ヵ所とし、WR8170Nを設置した場所から近い順に測定ポイント1,2,3とする。測定ポイント1はWR8170Nを置いた部屋でWR8170Nから約2.5m離れた場所である。測定ポイント2は隣の部屋だが見通しできWR8170Nから約4.5m離れている。測定ポイント3は壁によって見通しできない位置である。図面上の直線距離にして約9.3m離れている。
それぞれの測定ポイントにおける無線の受信強度については、WL300NU-AGのセットアップ時にインストールされたサテライトマネージャを使って測定した。それによると測定ポイント1は60~50dBの間、測定ポイント2は50~40dBの間、測定ポイント3は20dBのラインを若干上回るレベルである。
WR8170Nの無線LANの測定結果を表したのが下のグラフである。
測定した結果をみると、残念ながらウェブで公表されていた実効スループット約93.6Mbpsには及ばなかったが、測定ポイント1のダウンロードで89.93Mbpsと90Mbpsに迫るスループットが確認できた。
測定ポイント2ではダウンロードで67.09Mbps、アップロードで55.38Mbpsのスループットを確認。測定ポイント3ではWR8170Nと一番離れているにも関わらず、スループットはダウンロードで20.6Mbps、アップロードで14.26Mbpsとなった。結果全体を見渡せば、安定した高速通信ができる機種と言っていいだろう。セールスポイントの「ハイパーロングレンジ」に“偽りなし”である。