著名作家人が関わる電子雑誌
「AiR」正式版の内容は以下の通り。
巻頭グラフ「横山裕一、豊潤の世界」
小説「デビルマン魔王再誕」永井豪=原作/桜坂洋=小説/籬讒贓=画
「平安デジャブ──抱擁国家、日本の未来」前野隆司(慶應義塾大学大学院教授)
小説「魔法」瀬名秀明=文/むらかわみちお=画
エッセイ「空から降るツイート」北川悦吏子
エッセイ「背徳の食卓」岡田有花(ITmedia News)=文・絵
対談「歴史、政治体制、ロボットアニメ」本郷和人(東京大学史料編纂所准教授)
対談「電子書籍のすぐ先の未来」佐々木俊尚×幸森軍也
評論「『電子書籍が儲からない』は嘘である」中村祐介(エヌプラス代表)
エッセイ「IT革命と相撲」カレー沢薫=文・漫画
ノンフィクション「1969 バブル世代に生まれて」堀田純司
小説、エッセイ、対談、評論と内容は多彩だ。電子書籍というよりも電子雑誌といったほうがしっくりくるかもしれない。
6月17日に発売された先行版がすでに採算に乗ったという「AiR」。7月23日には正式版の刊行イベントが行なわれ、ビジネスモデルや制作の舞台裏が語られた。
先日開催された東京国際ブックフェアのデジタルパブリッシングフェアでも百花繚乱の様相を呈していた電子書籍制作ツールだが、「AiR」は「movilibo STUDIO(モビリボスタジオ)」を採用している。
movilibo STUDIOスタジオは、システム利用料とAppStoreへの登録料、そして販売に応じたロイヤリティを支払うことで利用できるシステムだ。たとえば、電子書籍1アプリを1カ月間利用するだけであれば、3万1500円(税込)+ロイヤリティ(10%)となる。
制作方法も非常に簡便だという。原稿にはPDFをそのまま利用することができ、ブラウザ上でオーサリング作業が完結する。「AiR」のオーサリングを行なったのは、「AiR」を刊行した合同会社代表の堀田純司氏。ITにはあまり詳しくない、という氏だが、PDFの原稿からアプリ完成までは一晩で行なえたそうだ。
実際、プレス向けに配付されたPDF原稿と、購入した「AiR」正式版アプリを見比べてもフォントや文字送りなどまったく同じ状態だった。
AmazonはKindle向けの出版をウェブベースで行なえるKindle DTPを展開している。こちらもWordやPDFを原稿とすることができるが、まだ日本語には対応していない。movilibo STUDIOはそれをiPhone/iPad向けにして日本語にも対応させたようなものといえるだろう。
オーサリング専門のオペレーターも必要としないことから、工数も抑えることができるのはもちろん、その制作にあたってパッケージ版のオーサリングソフトを購入するよりも初期コストを抑え、また販売数に応じたレベニューシェア型のモデルを採用することでリスク低減にも成功している。
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