独自の4倍速表示でクロストークを低減
リビングでも明るい映像で3Dを表示できるソニー
続いて、液晶パネルで3Dテレビを実現したソニー。ソニーでは、3D完全対応の「LX900」シリーズ(60V/52V/46V/40V)のほか、3D Readyの「HX900」(52V/46V)、「HX800」(46V/40V)の3シリーズをラインナップしている。
BRAVIA LX900シリーズ | ||
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機種名 | (予想)実売価格 | 発売日 |
KDL-60LX900 | 58万円前後 | 7月 |
KDL-52LX900 | 43万円前後 | 7月 |
KDL-46LX900 | 36万円前後 | 発売中 |
KDL-40LX900 | 30万円前後 | 発売中 |
BRAVIA HX900シリーズ | ||
機種名 | (予想)実売価格 | 発売日 |
KDL-52HX900 | 47万円前後 | 7月 |
KDL-46HX900 | 39万円前後 | 7月 |
BRAVIA HX800シリーズ | ||
機種名 | (予想)実売価格 | 発売日 |
KDL-46HX800 | 29万円前後 | 発売中 |
KDL-40HX800 | 23万円前後 | 発売中 |
3D Readyとは、3Dメガネと、3Dメガネに同期信号を送信する3Dシンクロトランスミッターを追加することで、3Dを楽しめるようになるモデルのこと。買った後から3D対応ができるようになっているわけだ。
3Dメガネなどのための追加費用はおよそ1万7000円ほど。なお、3D Readyモデルでも、3D映像のための機能は共通で、HX900シリーズは同社最高画質を追求するなど、高画質の点も特徴だ。
製品の選択肢が多いことが特徴で、LX900の場合は3Dメガネが2個付属することも他社との違いと言える(3Dシンクロトランスミッターはテレビに内蔵)。
液晶での3D表示の場合、やはり応答速度が問題になる。詳しく言えば、液晶の場合、刻々と変化する映像を上書きしながら書き換えていく(ホールド表示)のため、画素が点滅を繰り返して映像を表示するプラズマのようなインパルス表示に比べると、前の映像が脳内でリセットされずに残る。
このため、右目と左目の映像が混ざりやすく、つまりクロストークが多い。これを解決するため、ソニーでは動画応答性を高めるための技術、4倍速表示を利用した。「モーションフロープロ 240Hz」と呼ばれる動画補間では、元の映像を4枚に増やして補間動画を生成するが、3Dでの4倍速では補間動画は使わない。
工程としては、(1)上書きのための時間→(2)右目用の映像→(3)上書きのための時間→(4)左目用というタイミングで表示を行なう。そして、「上書きのための時間」ではバックライトを消して映像を見えなくしてしまう。
3Dメガネの液晶シャッターも右目用/左目用の映像が表示されている間だけそれぞれ開閉するので、左右の映像が混ざり合う上書き中の映像が目に入らないようにしている。このように、パネル表示、LEDの点滅、3Dメガネの開閉が高度に連携することで、クロストークを改善している。
もうひとつの特徴が、3Dメガネから偏光フィルターをなくしたこと。偏光フィルターとは光の2つの波(縦波と横波)のどちらかだけを取り出すもの。液晶というのは、もともと光の2つの波のうちのどちらかしか遮断できないので、素通りになってしまう波を遮断する偏光フィルターを持つ。
これで光を完全に遮断したり、シャッターの開きを調整して明るさを変化、つまり映像を表示できるようになる。
自発光のプラズマテレビは、テレビ側に偏光フィルターが必要ないので、3Dメガネには偏光フィルターが必要。これで明るさは単純に半分になる。つまり、映像が暗くなる。ソニーの場合は、液晶テレビに偏光フィルターがあるので、3Dメガネは偏光フィルターを使わず、3Dメガネ側での明るさが落ちるのを回避している。
このため、映像が明るく、一般的な家庭のような明るい場所でも映像が暗く感じるようなことのない3D映像を楽しめるようになっている。さらには、3Dメガネの開閉にともない室内の照明のチラツキが気にならないというメリットもある。
なお、先述の3D表示でバックライトオフの時間があることを述べているが、これも映像が暗くなる原因である(画面が光っていないのだがら当然と言えば当然)。しかし、ソニーでは、映像が表示されているときのバックライトの明るさを通常よりもおよそ2倍ほどまで増やすことで明るさの減少を抑えている。
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