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2010年3Dテレビ選びの新基準を知る 第1回

よく分かる3Dの仕組みと機器選び

3DテレビとBDレコは別メーカーでOK? (2/5)

2010年07月26日 11時00分更新

文● 鳥居一豊

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3D放送を開始している「スカパー!HD」

3D放送を開始している「スカパー!HD」。3Dテレビがあれば既存のチューナーで視聴可能

BDとは異なるテレビ放送の3D方式

 3D対応BDソフトの方式はフルハイビジョン解像度を持った3D映像の記録・再生ができるので、映画館で見ている3D映像をそのまま家庭でも楽しめるようになる。しかし、テレビ放送では1つのチャンネルで2つ分のハイビジョン映像を送信するのは、帯域の制限により現実的ではない。

 このため、画面を2分割して右目用と左目用の映像を1つのコマに記録してしまう「サイド・バイ・サイド」や「トップ・アンド・ボトム」という従来からある方式が使われている。

サイド・バイ・サイドは水平解像度を半分にして右眼用と左目用の映像を1コマに収める方式。テレビ側でこれを2コマに分離して表示する

サイド・バイ・サイドは水平解像度を半分にして右眼用と左目用の映像を1コマに収める方式。テレビ側でこれを2コマに分離して表示する

 こちらは従来の放送設備でそのまま放送できるため対応は早い。「スカパー!HD」で今まさに行なわれている南アフリカ大会の主要25試合を3D映像でも放送しているが、これはサイド・バイ・サイド方式で行なわれている。

 ただし、1920×1080ドットの解像度の中に映像を2つ収録するため、例えばサイド・バイ・サイドならば960×1080ドットの映像が2枚となる。つまり横方向の解像度が半分になってしまうわけだ。

 ちなみにサイド・バイ・サイド方式の映像は、単純に見るだけなら普通の薄型テレビでも視聴できる(画面が右目用と左目用に分かれた縦長の映像が表示される)。3Dテレビの場合は、これを2つに分けてから左右を引き延ばし、右目と左目の映像に戻してから、2倍速で左右の映像を交互に切り換えて表示するわけだ。試しに見てみると、3Dの仕組みが理解しやすい。

通常(2D)の映像を3Dテレビで無理やりサイド・バイ・サイド方式で表示するとこうなる。画面を半分に切って横に引き伸ばしたものが高速で交互に表示される

ちなみに通常(2D)の映像を3Dテレビで無理やりサイド・バイ・サイド方式で表示するとこうなる。画面を半分に切って横に引き伸ばしたものが高速で交互に表示される

 こうした画面を2つに分けて記録・伝送する方式は他にも「ライン・バイ・ライン」(左右目用の映像信号を垂直方向1ラインおきに配置)や「チェッカーサンプリング」(左右目用の映像を千鳥模様のように配置)といった方式もあるが、基本的に放送などではサイド・バイ・サイドやトップ・アンド・ボトムが採用される見込み。

 最新の3Dテレビの多くが、BDが採用するフレームシーケンシャルのほか、サイド・バイ・サイドとトップ・アンド・ボトムにも対応しているので、BDソフトだけでなく、テレビ放送の3D映像も楽しめる。

 いくつもの方式があって混乱しがちだが、基本的にはどのメーカーの3Dテレビでも、今後登場する3Dソフトには対応できるので心配はない。


3D映像を見るのに必要なものは?

ソニー「BRAVIA」の「3D Ready」モデル(HX900、HX800)は、別途トランスミッタ―と3Dメガネが必要となる

ソニー「BRAVIA」の「3D Ready」モデル(HX900、HX800)は別途3Dメガネと、テレビとメガネの同期をとるための赤外線トランスミッタ―(写真)が必要となる

 現在放送されている3Dテレビ放送(サイド・バイ・サイド)、今後登場する3DのBDソフト(MPEG-4 MVC)を見るためには、まずは3Dテレビが必要だ。

 ソニーの「3D Ready」モデルを除き、3Dテレビには専用の3Dメガネなども付属しているので、3Dテレビがあればスカパー!HDやBS11で放送されている3Dテレビ放送をすぐに楽しめる。

 スカパー!HDを見るには、専用チューナーを新規に購入・視聴契約が必要になるが、すでにスカパー!HDを見ている人ならば、チューナーの買い換えなどは必要ない。BSチューナーも同様。放送の録画もスカパー!HD対応のBDレコーダーであれば、3D対応レコーダーである必要はない。

 つまり、スカパー!HDを視聴・録画できる人は今から3D放送を録画しておける。BDソフトと違って、テレビ放送はそのままソフト化されることは少なく、見逃してしまうと二度と見られないこともある。お金を出せばいつでも買えるBDソフトと違って、希少価値の高いものもある。3Dテレビを買うのは先でも、貴重なコンテンツはどんどん貯めておこう。

 このほかに必要なものとしては、3D対応のBD再生機器が必要。3D対応のBDソフトを再生するだけなので、特にBDレコーダーである必要はない。手持ちのBDレコーダーで録画は十分ならば、BDプレーヤーを追加すればいい。

 また、PS3は3Dゲーム(対応済み)と将来的に3D対応BDソフトの再生に対応できるので、PS3ユーザーであれば、BDプレーヤーの新規購入の必要もない。もちろん、パナソニックのBDレコーダー/プレーヤーはパナソニックの3Dテレビ専用、PS3はソニー専用ということではないので、余計な心配は無用だ。

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