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2010年3Dテレビ選びの新基準を知る 第2回

プラズマのパナ VS 液晶のソニー 3D対決!

3Dは液晶×プラズマどちらが有利か? (2/5)

2010年07月26日 11時00分更新

文● 鳥居一豊

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3D表示でも動きはスムーズか?

 3Dテレビの画質で各社とも力を注いでいるのがクロストーク対策だ。これは、左右の映像を交互に切り替えながら表示するフレームシーケンシャル方式の弱点とも言える部分。テレビ側での映像の切り替わりに合わせて、3Dメガネの液晶シャッターを交互に開閉することで、可能な限り左右の映像が混ざらないように対策している。左右の映像が混ざってしまえば、3Dメガネなしで3D映像を見ているのと同じことで、似たような映像が変にブレて見えてしまい、3D効果が得られなくなる。

 パナソニックでは、点灯した画素の光が残ってしまう残光を対策しているし、ソニーでは4倍速表示に加え、映像が切り替わる部分でLEDバックライトを消灯する工夫を行なっている。このあたりはこれまでに説明してきた通りだ。

 さて、実際に映像を見てみるとどうだろうか。ドキュメント風の雄大な自然や風景を撮った映像は動きも比較的少ないこともあり、どちらもスムーズに見える。これが動きの速い映像になると、少々差が出てくる。

 パナソニックでは飛び出して見える映像にときどきネガのように反転した影が見えることがある。これがクロストーク。ソニーでもクロストークは散見されるが、さらに映像のチラツキが多少気になり、動きの速い映像を目を凝らして追っていると、少々目が痛くなる。これはLEDバックライトの消灯による黒挿入を行なっていることの弊害と言える。映画などを1本通してみたことはないのだが、ちょっと目の疲れなどが心配になった。

左がパナソニックで、右がソニー。高速で走り抜ける車両を見比べると、ソニーの方がややチラツキが目立つ

同じく左がパナソニックで、右がソニー。静止した遠景の景色ではチラツキは気にならない

 映像の動きそのものはどちらもくっきりと鮮明で、ソニーが液晶だからといって残像が気になるようなことはなかった。ここでは、比較用にそれぞれの映像を撮影して掲載しているが、3D映像は3Dメガネ越しで見てはじめて完成する映像だ。そのため、テレビの画面を直接撮影した場合、パナソニックは3Dメガネに偏光フィルターがあり、映像が暗くなる分だけ画面の明るさを高めている。これに対してソニーの3Dメガネには偏光フィルターがなく、画面の明るさ低下が少ないため、画面の明るさと3Dメガネ越しの映像にあまり明るさの変化がないという違いがある。

 前ページの3Dメガネを使った視聴で、パナソニックの方が暗いと書いたが、撮影した画面を見るとパナソニックの方が明らかに映像が明るいのはそのためだ。


部屋の照明のチラツキは? 頭を傾けても大丈夫?

 端的に言ってしまえば、パナソニックは古い蛍光灯などを使った部屋では部屋の照明のチラツキがある。インバーターのない蛍光灯は50または60Hzで点滅しているので、目の良い人だと点滅していることが認識できる。

 そうでなくても3Dメガネ越しだと液晶シャッターの開閉と干渉するのか、かなりはっきりと照明がチカチカと点滅しているのがわかる。逆にソニーの場合は照明のちらつきはまったくと言っていいほど感じない。これは3Dメガネに偏光フィルターがあるかないかの差だ。対策する方法としては、照明を消す、電灯をインバーター付きのものに換えるなどがあるが、気軽に使うという点では少々気になる。

 また、パナソニックの3Dメガネは、メガネ部分がつるの部分から浮いた形状になっているため、メガネの外側の光が入ってしまう。こちらはチラツキは感じないものの、画面の外側が明るいと視界の端っこのものが目障りに感じることもある。

 つづいて頭を傾けたときの見え方の変化を比べてみた。こちらも端的に言ってしまえば、パナソニックは耳が肩に押しつけられるほどに首を傾げると映像がややブレて3D効果が得られにくくなる。これはつまり、リラックスした姿勢で見ている程度なら十分に3D効果は得られるが、ソファに横になって見ようと思うと、3D効果は得られないというイメージだ。

 一方のソニーの場合は、首の傾きによって3D効果がかなり敏感に変化する。わずかに首を傾げても映像がブレだすし、耳が肩につくほど傾けると3D効果はほとんどなくなる。これは、先ほどの偏光フィルターの有無が原因。ソニーの場合、テレビ側に偏光フィルターがあるので3Dメガネに偏光フィルターは要らない。

 が、テレビから偏光された光が出ているので、正しい角度で見ないと偏光フィルターの効果が減ってしまうのだ。逆にパナソニックは3Dメガネに偏光フィルターがあるので、偏光された光はメガネの後ろから目に直接当たる。頭の動きの影響は少ないというわけだ。

 この得手不得手はどちらを取って、どちらを捨てるかしか方法はないようだ。ソニーは照明の種類を気にしないで済むが、首の傾きにはナーバス。パナソニックは逆で、両立はかなり難しいだろう。このあたりは、自由な姿勢で3D視聴を楽しめる店頭などで、それぞれ試してどちらが自分に合うかを吟味したい。

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