プロモーション費用として考えれば「ボーカロイド」は安いもの?
―― プロモーションという話は面白いですね。ボーカロイド音源をつくるのはお金がかかりますよね。データベースをつくるのに合計500万円くらいはかかると聞いたことがあります。すると今回の話は、「ボーカロイドでクチコミがつくれれば500万円の宣伝効果がある」という判断がされたことになるわけですよね。
村上 そうですね、そういうことだと思います。実はボーカロイドを出したいという話はちらほら来るんですよ。声優さんを連れていくから、作ってくれないかとか。でも、ウチ1社だけでそれを考えると、(経費面で)なかなか難しいところもあるわけです。
―― たしかにそうですよね。それに、ソフトに収録する声の「中の人」に関連した会社が共同出資した方が効率がいい。それに、新聞やテレビといったマスメディアへの出広を考えたら、むしろニコニコ動画で「ネタ」として盛り上がってくれた方が、よっぽど費用対効果が高いわけですよね。とりわけ若い人に対しては。
村上 そうなんですよ。「anim.o.v.eでCD出します」ということで広告を打つよりも、話題もつくれますし。あ、でもウチが乗っただけと思われたら困るんですけど(笑)。
―― 実際、インターネットさんが請け負うのはどこになるんでしょう。
村上 販路とユーザーサポートですね。avexさんとヤマハさんと利益をシェアすることになります。今までもヤマハさんへのロイヤリティの支払いはありましたけど。
―― それにしても、これまでのラインナップとは毛色がちがいますよね。イラストは「初音ミク」を描いたKEIさん。名前も「Lily」で、「……っぽいど」シリーズから外れてますし。
村上 「anim.o.v.e.02」のジャケットもKEIさんにお願いされてるそうなんですよね。その流れで同じキャラクターをということになったんですが。Lilyというのも、ラインナップの1つとしてそういうものもあっていいんじゃないかと。
―― しかし、ここにインターネットさんを選ばれた理由というのは何なんでしょう。
村上 アーティストさんのボーカロイドを出しているからですね。GACKTさんなどの前例がありましたから。初めに声がかけられたのは5月半ばだったんですけど。データベースを聴かせてもらったら、「メグッポイド」とも違いがあって、とてもクオリティが高い。これならいいだろうということで、出させてもらうことになったんです。
―― 声質は「メグッポイド」とくらべてもかなり違うんですか。
村上 そのまま使うと太くて低音っぽいです。ウチのデモ曲はジェンダーファクター(声の太さを変えるパラメーター)をかなりいじっているので、声質は1曲の中でもかなり変わっているんですけど。
―― 考えてみたら、Lilyは会社の年次計画にはなかったわけですよね。
村上 ええ、もちろん。むしろ「DTMマガジン」という雑誌に「新しいボーカロイドが登場か?!」というスクープ記事が載っていたときは、へえーと思って見ていたんですよ。どこから出るんだろうなー、というくらいに。
―― たしかにいま、研究開発中の新しいボーカロイドの話はたくさん出ています。そうしたら、今後のインターネットさんは「ボーカロイドソフト屋さん」みたいな位置付けになるんでしょうか。事務所からプロモーション用の声ネタを仕入れて売っていくという。
村上 うーん、どうなるでしょう。まだわかりませんけどねえ。こちらから仕入れて、ということはまだ予定はないです。マンパワーがかかるので。












