低価格ハイパワーモバイルの新時代を築く1台
13zシリーズの評ではあまり言及されないのだが、オーディオ特性についても少し触れておきたい。モバイルノートでは本体スペースの関係からか、音響再生能力を重要視しないのが常であった。ステレオスピーカーを搭載する製品でも、口径が小さく低音が出なかったのだ。しかしNew 13zでは、パームレスト部分を広くしたことで反響空間が確保できたのか、このクラスのノートとしては意外に感じるほど音がいいのである。
ディスプレー左下に「SRS PREMIUM SOUND」の文字が鮮やかに記されていることからわかるように、ヘッドホンなどで聴く場合は、再生コンテンツに応じた臨場感あふれる音響を楽しめる。だが、本体スピーカーの鳴動もなかなかのものだった。
その反面、気になったのが空冷ファンの動作音である。CPUのCore i5化や独立GPUの標準搭載など、本体内部での発熱が大きくなったのだろう。そこにスリムデザインとなってはなかなか熱の逃げ場がない。本体右側に設けられた排気スリットが、旧13zより小ぶりとなったこともあってか、空冷ファンの風切り音が結構耳に付く。空冷ファンの回転は処理負荷によって制御されているものの、しばらく何もしていなくても鳴り止む(回転が止まる)ことはなかった。
本稿執筆時点では、New 13zは直販サイトで3種類のパッケージが用意されている。CPUがi3-330UM(320GB HDD)の構成と、i5-430UM(500GB HDD)のOffice Personal 2010有り無しの計3種だ。いずれも基本構成では、メモリー4GBを標準搭載し、OSにはWindows 7 Home Premium 64bit版を搭載する。
細部はBTO構成で変更できるが、コストパフォーマンス的にはi5-430UM搭載でOfficeなしのプレミアムパッケージ(8万9980円)を推したい。I3-330UM搭載のベーシックパッケージとの価格差は1万円。この投資でHDD容量が約1.5倍になり、CPUのクロック周波数を一時的に上昇させるターボブーストが使えるのは魅力的だ。
旧モデルからの変容っぷりは、新たなシリーズ名を与えてもよさそうな気がするほど。高速処理・高速描画と新たなパワーを手に入れたInspiron 13zは、これからのモバイル・スリムノートの代表的な一台となるだろう。
Inspiron 13z(試用機) の主な仕様 | |
---|---|
CPU | Core i5-430UM(1.20GHz) |
メモリー | 4GB |
グラフィックス | Mobility Radeon HD 5430 |
ディスプレー | 13.3型ワイド 1366×768ドット |
ストレージ | HDD 500GB |
光学ドライブ | USB接続型DVDスーパーマルチドライブ付属 |
無線通信機能 | IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 2.1 |
サイズ | 幅328×奥行き235.5×高さ24mm |
質量 | 約1.79kg(最小構成時) |
バッテリー駆動時間 | 最大4時間49分 |
OS | Windows 7 Home Premium 64bit |
価格 | 8万9980円(最小構成価格 7万9980円) |
筆者紹介─池田圭一
月刊アスキー、Super ASCIIの編集を経てフリーの編集・ライターに。パソコン・ネットワーク・デジタルカメラなど雑誌・Web媒体への企画提供・執筆を行なう一方、天文や生物など科学分野の取材記事も手がける。理科好き大人向け雑誌「RikaTan」編集委員。デジイチ散歩で空と月と猫を撮る日常。近著は「失敗の科学」(技術評論社)、「光る生き物」(技術評論社)、「これだけは知っておきたい生きるための科学常識」(東京書籍)、「科学実験キット&グッズ大研究」(東京書籍)、「やっぱり安心水道水」(水道産業新聞社)など。
この連載の記事
-
第133回
PC
Skyrimも快適? GeForce内蔵Ultrabook ASUSTeK UX32VD -
第132回
PC
写真やゲームをより美しく見せるナナオの液晶 FS2333 -
第131回
PC
デジカメとスマホを手軽に連携する無線LAN SDカード FlashAir -
第130回
PC
無線とタッチで使い勝手が進化したペンタブレット Intuos5 -
第130回
PC
スレートPCをCore i7で蘇らせたオンキヨー TW3A-A31 -
第129回
PC
店頭モデルも4コアCPUに パワーアップしたLets'note B10 -
第129回
PC
小型でも強力GPU搭載のゲームPC Alienware X51を検証 -
第129回
PC
Ultrabookと一緒に持ち歩きたい 超小型マウス「Cube」 -
第129回
PC
14型のUltrabookはアリか? デザイン重視のENVY 14 SPECTRE -
第128回
PC
WiMAXモバイルルーターの決定版!? Aterm WM3600Rを試す -
第127回
デジタル
高速SSDで起動・復帰が速いUltrabook Aspire S3-951 - この連載の一覧へ