カスタマイズや作りこみの下地はできる限り用意する
── 筺体そのものに手を加える以外にも、カスタマイズできる部分はありますか?
垂見 「今年5月に発表した『Latitude 2110』という製品では、LEDの発光をカスタマイズできる機能を追加しました。従来は、LANや無線LANに接続すると光るといったレベルだったのですが、今回からLEDの発光をコントロールできるAPIをデルとして提供して、ある特定のアプリケーションを立ち上げるとランプがつくといった仕組みも提供できるようにしています。
デルとしてはまず、こういったカスタマイズや作り込みができる道具を提供する。そこから先はお客様とシステムインテグレーターさんが力を発揮していただく形になるとは思うのですが、その可能性を広げられる製品作りを目指しています。
ただし、従来のLatitude 2100ではできないことがありました。デルが得意とするカスタマー・ファクトリー・インテグレーション(CFI)です。
これはお客様が作成したOSイメージを、デルの工場内でマシンにインストールして出荷する仕組みなのですが、今回ネットブックのLatitude 2110でも、他のLatitudeと同様にCFIを利用できるようにしました。
やはり教育系になると台数が非常に大きくなるので、1000台を手元でインストールするというのはなかなか難しい。そこでデルの工場で一括してデプロイメントする(利用可能にする)ことで、物理的な苦労を減らせるようにしています。
今後はそういった可能性も追い求めていきたいと考えています。ソフトとハードは両輪と言いますか、まず重要なのは信頼性のあるハードを提供すること。次にカスタマイズの可能性だったり、運用のしやすさでTCOを削減できる仕組みを用意することが重要です。
デルの思想(フィロソフィー)として、できあいの製品の「ロゴだけを変えて」出荷するのではいけない。もちろんそういう対応も可能ですが、根本に流れている考え方は、お客様が必要とするテクノロジーやサービスをきちんとデルがハードウェアに実装していくことです。これが大前提です。
これは教育市場に限らず、大企業でも同じです。例えば夏ごろから話題になってくるハイパーバイザー の話でも、オペレーティングシステムやアプリケーションだけ入れれば何とかなるという話ではない。
BIOSレベルから考えて、フラッシュメモリーの使い方やリブートの仕組みをどうするか、そのための検証をどうするかまでできる会社でないといけない。ここもデルは力を緩めるつもりはないです。優れたハードウェアだからこそできるというところを改めて強調したいですね」