中判にしては速い連写速度
記録メディアはSD/SDHCカードを採用。デュアルスロットを装備しているので大量に撮影する場合には両方のスロットをJPEGに設定してもいいし、RAWでも同時に撮影したいときはそれぞれJPEGとRAWに振り分けて保存するように設定できる。用心深い人のために両方に同じ画像データを保存することもできる。
ただ、使用するメディアはクラス6以上のものを推奨している。これは大元のCCDが約4000万画素もあり、RGBデータにしたとき113.1MBにもなる。40M(★★★)のJPEGに設定したとしても1枚あたり15MBくらい(画像による)になるので、連続撮影時(最大で約13コマ)は、できるだけ速いメディアを使用した方がバッファーメモリーがすぐ解放されるので効率よく撮影ができる。
とはいっても連写速度は1.1コマ/秒である。デジタル一眼レフを使い慣れた人から見たらかなり遅く感じるだろうが、もともと中判カメラの連写速度は遅い。ベースとなった645NIIも2コマ/秒だった。逆によくこのレベルまでにしたと思うべきだ。
連写したときに驚いたのはミラーショックの軽さ。35mmフルサイズよりも大きなミラーを使用しているのでミラーショックは大きくて当たり前なのだが、これが意外に小さかったのだ。
低感度で絞りを十分に絞った状況では三脚の使用は絶対条件だろう。しかしストロボを使ったスタジオ撮影や、シャッター速度をキープできる状況であれば手持ちでの撮影も十分に可能だ。
電子制御式のフォーカルプレーンシャッター(縦走り)は、1/4000秒~30秒で1/2ステップ、または1/3ステップで設定が可能である。フラッシュのシンクロスピードはベースとなった645NIIの1/60秒から1段速くなり、1/125秒となっている。0番レンズシャッターの1/500秒シンクロにはかなわないが、日中シンクロなどを使用したい場合に少しでも速いシャッタースピードが使えるのは大変助かる。
電源には同社の「K7」と共通の充電式リチウムイオンバッテリー「D-LI90」を採用。カタログスペックでは約800枚の撮影が可能とある。小型のD-LI90は1860mAの容量を持ち、ボディ本体のグリップ部分に収納される。実際、デジタル一眼レフと共通のバッテリーで同等の枚数が撮れるのだろうかと心配したがそれは杞憂に終わった。徹底した省電力設計がされているのだろう。
この解像感で100万円を切るのはバーゲンプライス!
大型のセンサーと約4000万画素の解像度。それをしかも野外で使用しても大丈夫なように設計された645D。もちろん高額ではあるが、中判カメラ写真を撮影してきた人にとってはその解像力は魅力的なはずである。
昔も今も変わらない解像力が欲しければ自然と35mmから中判、そして大判へとステップアップしていくのである。ほかの中判ハイエンドデジタルカメラと比較しても100万円の大台を大きく割った645Dはバーゲンプライスとしか思えない。
写真を大きく伸ばして使用したい人には必需品となるかもしれない。