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柳谷智宣の「真似したくなるPC活用術」 第22回

一皮むけたWiMAXを使って通信コストを抑える技

2010年07月13日 12時00分更新

文● 柳谷智宣

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ネット回線をWiMAXにまとめて節約する

 不景気な昨今、「便利だから」といって簡単に通信費で毎月の支払いを増やすわけにもいかない。そこでWiMAXを導入したときのコストを考えてみよう。メインで使うパソコンでも、5~8Mbpsの実効速度で事足りるなら、いっそADSLやFTTHなどの固定ネット回線を解約してしまう手もある。例えば、WiMAXを使い放題の「UQ Flat」プランなら月額4480円なので、固定回線を使うよりも安くなるかもしれない。そのうえ外出先でも、WiMAXを利用できるのだ。

UQ Flat

毎月14MB以上使うなら、月額4480円の「UQ Flat」を選ぼう

 現在、モバイル通信で3G回線を複数使っているなら、モバイルルーターでまとめてしまうと安く済む。シンセイコーポレーションの「URoad-7000」のようなバッテリーを搭載するモバイルWiMAXルーターを利用すれば、外出先でも複数の機器でWiMAXを利用できる。3G回線で複数機器を同時接続すると遅くなってしまうが、WiMAXならそこそこ快適に接続できる。

 時期によって利用する頻度が異なるなら、2段階定額プランの「UQ Step」がぴったりだ。最低料金は380円からで、約11万8000パケット(1パケットは0.042円)で4980円が上限となる。UQ Flatよりも最大金額は高くなるが、使わない月は安く済む。

 iPadの3GモデルとWi-Fiモデルの価格差は約1万円。3Gのデータ通信料金は月額最大4410円だが、月月割を適用すれば2910円になる。持っているモバイル通信機器がiPadだけなら、モバイルWiMAXルーターにするメリットはないが、ほかにもパソコンやiPod touch、携帯ゲーム機を持っているなら価値はある。ガラケーとiPhoneの2台持ちユーザーなら、iPhoneの3G通信を切ってWi-Fiで利用し、パケット料金を抑える手もある。

モバイルWiMAXルーター「URoad-7000」

バッテリーを内蔵し、外出先で使えるモバイルWiMAXルーター「URoad-7000」

 滅多に利用しないなら「UQ 1Day」というプランもある。24時間600円で利用できる1日プランだ。都市部に出張したときだけ使いたい人や、1日だけWiMAX機器を借りた場合などに活用できる。筆者も仕事でWiMAX機器を評価するときは、1Dayプランを利用している。契約前は当然ネットに接続できないが、契約画面にはアクセスできるので、その場で手続きが可能。10分ほどで利用できるようになる。

1Dayプランなら、使いたい時に手続きできる

UQ 1Dayプランなら、使いたい時に手続きできる

 さらにUQ WiMAXは、1契約で3台までのデバイスを登録できるのが便利だ(1Dayプランは不可)。利便性の高いWiMAX内蔵パソコンを購入したら、その契約でほかのUSBアダプターも利用できるのだ。追加コストは月額200円で済む。複数の機器で同時に接続することはできないが、状況に合わせて機器を使い分けられるのはうれしいところ。

 手軽に使えるのはやはりパソコン内蔵タイプだ。例えば、ソニーの「VAIO X」をCTO方式のVAIOオーナーメードモデルで購入する場合、WiMAXの有無で価格差は1万円程度となっている。USBやカードタイプのアダプターは1万2000~1万4000円程度。モバイルWiMAXルーターは1万6000~2万円前後だ。

 3G回線のような割り引きプランが用意されていないので、数万円の割引が受けられるPocket Wi-Fiの方に魅力を感じる人も多いだろう。しかし、これは2年契約のしばりがあるために可能な割引だ。WiMAXには契約の縛りがなく、いつでも解約できる。月額料金もUQ Flatが4480円。対してイーモバイルの「新にねん」が4980円だから、むしろ安い。その分を端末代として考えればいいだろう。

 極端な例を考えてみると、固定回線を解約して6000円、iPadをWi-Fiモデルにして2910円、iPhoneの標準プライスプランでパケットを使わず3381円(4410-1029円)で、月額約1万2000円が浮かせられるというわけだ。これなら差額で、WiMAXの端末代金と月額を支払ってもかなりのお釣りが来る。


対応エリアが広がり都心部では実用できる

 UQ WiMAXの基地局は5月末で8120局、現在は9000局を超えている。東京はもちろん、大阪、京都、名古屋などの大都市圏はまるごと対応エリアに入っている。これらの地域なら、駅から離れても十分な接続速度が得られる。そのほかの地域は県庁所在地近辺のみで、まだ基地局は少ないようだ。今年度末までに1万5000局に増やす予定のようなので、期待したい。

 無線通信なので、地図上では対応エリアでも、利用場所と基地局の位置により通信できないこともある。そのため、無料でWiMAX機器を15日間貸し出し、接続できるかどうか試せるサービス「Try WiMAXレンタル」も用意されている。初めてWiMAXを使うという人は、面倒がらずにあらかじめテストしておくことをお勧めする。申込時にクレジットカード情報を登録する必要があるが、機器を返却すれば料金はかからない。レンタル中の通信料も無料だ。

Try WiMAXレンタル

「Try WiMAXレンタル」で、15日間端末をレンタルできる

 8月1日までは、WiMAX機器の購入と同時にUQ Flatを申し込むと、月額4480円のところが、1年間は3780円となるキャンペーンも実施中だ。これを使うと年間8400円の節約になる。さらに、他社のモバイルデータ通信サービスから乗り換えると、6000円キャッシュバックするキャンペーンもある。8月22日までは、端末半額キャンペーンも行なっている。USBアダプターやPCカード/Expressカードタイプの古い端末のみが対象だが、6000円台で接続機器が購入できるのはお得だ。

 自宅と会社など、メインで利用する場所がWiMAXに対応しているなら、積極的に導入を検討したい。現在抱えている回線をWiMAXでまとめて置き換えると、通信速度の向上とコストの削減が同時に実現できるかもしれない。

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筆者紹介─柳谷智宣

著者近影 柳谷智宣

1972年生まれ。ネットブックからワークステーションまで、日々ありとあらゆる新製品を扱っているITライター。現在使っているノートパソコンは、東芝のSS RXとMac。とはいえ、1年以上前の製品なので、買い換えを思案中。日経パソコンオンラインで「ビジネスパソコンテストルーム」、週刊SPA!で「デジペディア」を連載するほか、パソコンやIT関連の特集や連載、単行本を多数手がける。近著に「仕事が3倍速くなるケータイ電話秒速スゴ技」(講談社)、「PDFビジネス徹底活用技」(技術評論社)。


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