Webパフォーマンス計測製品を販売する日本コンピュウェアは7月12日、国内大手サイトを対象としたパフォーマンスベンチマーク調査の結果を発表した。
調査は、6月1日から30日までの1か月間、小売(カタログ通販/テレビ通販)、小売(EC)、銀行、証券、旅行(国内パッケージ旅行)、旅行(チケット販売)の6業種、計54サイトを対象に実施された。具体的には、国内大手ISPバックボーンノードに設置したテストマシンから60分ごと、24時間連続でトップページにアクセスした際のレスポンスタイム(すべてのコンテンツの読み込みが完了するまでの時間)を計測し、平均値を算出した。
今回の調査でレスポンスタイムがもっとも高速だったのは、スカイマーク(航空会社)のサイトで0.3秒、次点は三菱東京UFJ銀行の0.39秒だった。業種別の平均では、銀行が1.367秒でもっとも速く、小売(EC)の1.442秒、旅行(チケット販売)の1.49秒が続いている。日本コンピュウェアの生内眞司マーケティング本部長は、「今回調査したほとんどの企業はEC業界でいわれる“2秒ルール”をクリアしており、全体を通じて日本のサイトは優秀」と分析する。
調査ではこのほか、可用性(アクセスに成功した割合)、均一性(レスポンスタイムのばらつき)の2項目についても調査し、結果をWebサイトで公開している。日本コンピュウェアでは今後も、同様の調査結果を毎月公表していくという。
海外、特に北米ではWebのパフォーマンスへの関心が高まっている。直接のきっかけは今年4月、米グーグルが「検索順位に読み込み速度を反映させる」と発表したことだが(関連記事)、理由はそれだけではない。「レスポンスタイムが1秒遅れるごとにコンバージョン率が7%低下する」(アバディーングループ)、「ECサイトの離脱ユーザーの33%はパフォーマンスに不満」(フォレスターリサーチ)といった、Webサイトの表示速度がWebビジネスに与える影響を指摘するレポートも相次いでいる。
「表示速度が遅いECサイトは客を逃がす」という現象は、混雑のためにレジまでなかなか到達できないリアル店舗の例でイメージできるように、常識的に考えれば説明がつくことではある。あとは企業の限られた予算の中から他のマーケティング施策との折り合いを付け、どれぐらいの予算と人員を割けるか、ということに尽きるだろう。ただ、これまでは自社のサイトが速いのか遅いのか、そもそもほかと比較する方法がなかった。今回のコンピュウェアの調査によって参考値が出てきたことで、今後の議論がしやすくなるかもしれない。