日本代表が決勝リーグ進出を決めたワールドカップ南アフリカ大会は、すでに「スカパー! HD」で3D放送が行なわれており、日本代表の試合は対オランダ戦を3D(サイド・バイ・サイド方式)で見られる。準々決勝以降の試合も7試合が3Dで放送される予定なので、今すぐ3Dテレビを買おうとしている人には実に貴重なコンテンツとなるだろう。
3Dテレビを買いたい人も、今は様子見という人も、ともに気になるのが「プラズマと液晶、果たしてどっちが優れているのか?」だろう。そこで今回、両者を比較してみた。
今回はパナソニックの「TH-P50VT2」とソニーの「KDL-52LX900」を使用して見比べてみた。BDプレーヤーには、パナソニック「DMR-BWT3000」を利用。2系統のHDMI出力を使って両方に同時接続して視聴してみた。
ちなみに視聴したコンテンツはBWT3000に同梱されている体験用3Dソフトだ。パナソニックの再生機器と再生ソフトを使っているということは、パナソニックでは開発段階でもこの映像を確認できているが、ソニーでは確認できないということ。3Dソフト自体はパナソニック専用というわけではなく、ソニーで致命的な問題が生じたわけではないが、評価にあたり、多少パナソニックに有利に働く可能性がある点はあらかじめお断りしておきたい。
高速フレーム動画で検証! それぞれの3D表示の違い
まずは、毎秒240フレームと毎秒1000フレームのスローモーション動画で撮影したそれぞれの3D映像の動画を見てもらいたい。撮影したカメラの前に3Dメガネを置き、メガネを透過する映像とテレビ画面の映像の両方が確認できる世界初(!?)の動画である。実際に3Dメガネで3D映像を見る以上に、3D映像の仕組みがよくわかる。
パナソニックの3Dメガネの動作(240フレーム/秒)
ソニーの3Dメガネの動作(240フレーム/秒)
どちらも左右の映像の切り替わりに合わせて、3Dメガネの液晶シャッターも交互に開閉している点は同じ。これはどちらもフレームシーケンシャル方式とアクティブシャッター型の3Dメガネを採用しているので、当然の結果だ。
そのうえで、パナソニックの場合はメガネの左右どちらかは必ず開いているが、ソニーでは両方とも閉じているタイミングがある。ソニー側の動画でメガネが両方とも閉じている時、テレビの映像が直接映った部分を見ると、左右の映像が混ざった(ブレた)映像になっていることがわかる。
パナソニックの3Dメガネの動作(1000フレーム/秒)
ソニーの3Dメガネの動作(1000フレーム/秒)
ここで1000フレーム/秒で撮影した方を見ると、3Dメガネの両方が閉じたタイミングでバックライトが消えていることもわかる。これがプラズマ(120コマ表示)と液晶(240コマ表示)の動作の違いそのもの。
この違いが、3D映像を見るに当たってどんな違いとなるかが大きなポイントとなるだろう。この動画から類推すると、3Dメガネの両方が閉じ、バックライトも消しているソニーの方が映像が暗いようにも思えるが、実は両方を見比べてみると、ソニーの方が間違いなく明るい。これは、バックライトを消灯する分、バックライトを点灯するときには通常よりも明るく点灯させて明るさを稼いでいること、3Dメガネ側に偏光フィルターがなくメガネ側での明るさの低減が少ないことが理由だ。
このため、一般的な明るさの部屋で見た場合、ソニーの方が鮮明な印象で色も鮮やかに感じる。単独で見れば、パナソニックの3D映像でも十分な明るさは確保されているのだが、比べてしまうと色がくすんで、少々元気のない映像に感じてしまう(画質モードはどちらも標準で行なっているので、画質モードの変更や画質調整でパナソニックでも画面をより明るくすることはできる)。
この点だけに限って言えば、普段から映画などを見るときでも、部屋を暗くして視聴するならばパナソニックでも問題ない。いちいち部屋の電気を消したりしない人ならば、ソニーの方が使いやすいだろう。

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