BDとは異なるテレビ放送の3D方式
3D対応BDソフトの方式はフルハイビジョン解像度を持った3D映像の記録・再生ができるので、映画館で見ている3D映像をそのまま家庭でも楽しめるようになる。しかし、テレビ放送では1つのチャンネルで2つ分のハイビジョン映像を送信するのは、帯域の制限により現実的ではない。
このため、画面を2分割して右目用と左目用の映像を1つのコマに記録してしまう「サイド・バイ・サイド」や「トップ・アンド・ボトム」という従来からある方式が使われている。
こちらは従来の放送設備でそのまま放送できるため対応は早い。「スカパー!HD」で今まさに行なわれている南アフリカ大会の主要25試合を3D映像でも放送しているが、これはサイド・バイ・サイド方式で行なわれている。
ただし、1920×1080ドットの解像度の中に映像を2つ収録するため、例えばサイド・バイ・サイドならば960×1080ドットの映像が2枚となる。つまり横方向の解像度が半分になってしまうわけだ。
ちなみにサイド・バイ・サイド方式の映像は、単純に見るだけなら普通の薄型テレビでも視聴できる(画面が右目用と左目用に分かれた縦長の映像が表示される)。3Dテレビの場合は、これを2つに分けてから左右を引き延ばし、右目と左目の映像に戻してから、2倍速で左右の映像を交互に切り換えて表示するわけだ。試しに見てみると、3Dの仕組みが理解しやすい。
こうした画面を2つに分けて記録・伝送する方式は他にも「ライン・バイ・ライン」(左右目用の映像信号を垂直方向1ラインおきに配置)や「チェッカーサンプリング」(左右目用の映像を千鳥模様のように配置)といった方式もあるが、基本的に放送などではサイド・バイ・サイドやトップ・アンド・ボトムが採用される見込み。
最新の3Dテレビの多くが、BDが採用するフレームシーケンシャルのほか、サイド・バイ・サイドとトップ・アンド・ボトムにも対応しているので、BDソフトだけでなく、テレビ放送の3D映像も楽しめる。
いくつもの方式があって混乱しがちだが、基本的にはどのメーカーの3Dテレビでも、今後登場する3Dソフトには対応できるので心配はない。
3D映像を見るのに必要なものは?
現在放送されている3Dテレビ放送(サイド・バイ・サイド)、今後登場する3DのBDソフト(MPEG-4 MVC)を見るためには、まずは3Dテレビが必要だ。
ソニーの「3D Ready」モデルを除き、3Dテレビには専用の3Dメガネなども付属しているので、3Dテレビがあればスカパー!HDやBS11で放送されている3Dテレビ放送をすぐに楽しめる。
スカパー!HDを見るには、専用チューナーを新規に購入・視聴契約が必要になるが、すでにスカパー!HDを見ている人ならば、チューナーの買い換えなどは必要ない。BSチューナーも同様。放送の録画もスカパー!HD対応のBDレコーダーであれば、3D対応レコーダーである必要はない。
つまり、スカパー!HDを視聴・録画できる人は今から3D放送を録画しておける。BDソフトと違って、テレビ放送はそのままソフト化されることは少なく、見逃してしまうと二度と見られないこともある。お金を出せばいつでも買えるBDソフトと違って、希少価値の高いものもある。3Dテレビを買うのは先でも、貴重なコンテンツはどんどん貯めておこう。
このほかに必要なものとしては、3D対応のBD再生機器が必要。3D対応のBDソフトを再生するだけなので、特にBDレコーダーである必要はない。手持ちのBDレコーダーで録画は十分ならば、BDプレーヤーを追加すればいい。
また、PS3は3Dゲーム(対応済み)と将来的に3D対応BDソフトの再生に対応できるので、PS3ユーザーであれば、BDプレーヤーの新規購入の必要もない。もちろん、パナソニックのBDレコーダー/プレーヤーはパナソニックの3Dテレビ専用、PS3はソニー専用ということではないので、余計な心配は無用だ。
この連載の記事
-
第5回
AV
プラス7万円でできる!? 3Dパソコンを自作する -
第4回
AV
ナニができるの!? 夏の3Dパソコンを総チェック -
第3回
AV
期待の液晶勢をチェック! ソニー&シャープの3Dテレビ -
第2回
AV
プラズマのパナ VS 液晶のソニー 3D対決! -
AV
テレビからPCまで! 注目の3D機器を体験しまくる!! - この連載の一覧へ