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渡辺由美子の「誰がためにアニメは生まれる」第2回

つながる世界、アニメで描く 「ソ・ラ・ノ・ヲ・ト」監督に聞く【後編】

2010年07月24日 12時00分更新

文● 渡辺由美子

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人は過ちを繰り返しながら、それでも生きていく

―― 歴史の中で、人は「過ち」を繰り返している、とも言えますね。

神戸 歴史というのはそういうものだと思うんです。後世からは「過ち」に見えるかもしれない。けれども人は、その場その場で精一杯できることをやっているわけで、人の営みがある限り、同じ事が繰り返されますよね。

―― それでも継承していくこと自体に意味がある、と。

神戸 ええ。ソ・ラ・ノ・ヲ・トでも、そういうところにはこだわっていたつもりです。あの世界は、人類が過ちをおかして滅びそうである。それにもかかわらず、技術なり、音楽なり、朽ちた建物なり、過去から継承してきたものがまだ残っているんだよ、という話なので。劇中で、「歴史だ」というセリフもありましたけど、そういうことですよね。

 滅びそうだと言われている世界でも、カナタたちは、現在接している人々や、過去の時代に人が残したものから何かを受け取って、自分たちが何をしていくかを考えていく。自分たちも歴史の中のひとつとして、歴史を継承していく。そうやって繋がっていけばいいなということで。

―― カナタが、みんなに思いを伝えるために「アメイジング・グレイス」を吹きます。繰り返すことで、連携リレーみたいに伝わっていくという。

神戸 「アメイジング・グレイス」は、歌詞がよかったんですよね。「神様はこんな私でも許してくださるだろうか」みたいな意味だったので。人の行ないには過ちがあるものなんだけれども、それも一緒に伝えていくということで。

 人はみな親から産まれてきて、人生の中でいろんなことを経験し、そして死んでいく。その過程で何かを次の世代を伝えていく。誰もが「歴史を伝える一人」なんだと思うんです。カナタたちも、僕も、あなたも。

神戸守監督。ポスターを前に

■著者経歴――渡辺由美子(わたなべ・ゆみこ)

 1967年、愛知県生まれ。椙山女学園大学を卒業後、映画会社勤務を経てフリーライターに。アニメをフィールドにするカルチャー系ライターで、作品と受け手の関係に焦点を当てた記事を書く。日経ビジネスオンラインにて「アニメから見る時代の欲望」連載。著書に「ワタシの夫は理系クン」(NTT出版)ほか。

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