会議室がスタジオに!大きな被写体をキレイに撮る
吉田:大きな被写体はどうやって撮ったらいいのでしょうか?
三浦:サイズにもよるけど、どのくらい?
吉田:このソファーですが。さっき撮った写真はこれです。
三浦:撮影のアングルが悪く、足の本数と椅子の前面側面の様子がわからないし、広角レンズで撮っているので歪んでいるなあ。
吉田:ダメですか。
三浦:このソファーくらいのサイズなら会議室をスタジオにして撮ればいいんだよ。
吉田:え! 会議室をスタジオにするんですか?
三浦:大きめの背景紙が必要だけど、それさえあれば難しくないんだ。
吉田:お願いします!
三浦:じゃあ、あれとこれを片付けて……。
30分後、会議室にて。
吉田:会議室をスタジオにするのってカンタンでしたね。
三浦:テーブルなど片付けるので体力は要るけどね。早速撮影してみるか。
三浦:さて、できあがりがこれだ。
吉田:まるで本物のスタジオで撮ったみたいですね。
三浦:脚もちゃんと4本写しているし、ハイライトを入れて革の質感も描写している。どちらも革のソファーらしく写真で感じて貰うために必要なテクニックなんだよ。
吉田:家具屋さんのカタログで使うような写真になっているわけですね。
三浦:ただし、会議室や倉庫をスタジオにするときは、壁の色が無彩色系統の部屋がいい。また、天井照明も補助光源として使うことが前提だよ。
吉田:これは観葉植物や本棚などいろいろな撮影に応用できそうですね。
商品の世界観を写真で表現
吉田:ネットショップを運営している知人に頼まれてヘッドフォンの写真を撮ったのですが、どうも今ひとつ物足りないって言われてしまったんですよ。
三浦:どれ、見せてごらん。
吉田:ヘッドフォンそのものの写真としては悪くないんじゃないかなと思っているんですが……。
三浦:確かに撮り方は悪くないけど、キミがこの写真を見てヘッドフォンを買いたくなるかい?
吉田:うーん、そういわれると……。 三浦:商品を魅力的に見せる手法として、背景や撮影小物と組み合わせるテクニックがあるんだ。見てみるかい?
吉田:ぜひ!ヘッドフォンはこれです。
三浦:じゃあ、ちょっとセッティングしてみよう。高級感漂う木目調背景はどうだい?
吉田:いかにも書斎でクラシックを聴くのに向いている、というような雰囲気が伝わってきますね。
三浦:木目調背景を使うことで「木製楽器を使うクラシック系音楽を聴くのに適したヘッドフォン」という印象を強くできるんだ。次は雰囲気を全く変えてセッティングしてみよう。
吉田:同じヘッドフォンなのにこちらはトロピカルな雰囲気ですね。
三浦:浜辺の砂と流木、植物を配し、「南国の民族音楽などを聴くのに適したヘッドフォン」をイメージしてみたんだよ。
吉田:バカンスに持って行きたくなりますね。
三浦:だろう。このように背景の演出は商品の世界観を説明するのに向いたテクニックなんだ。
吉田:面白いですね。私もいろいろ工夫してみます。