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西田 宗千佳のBeyond the Mobile第50回

IS01はシャープ流の「ウェブコミュニケーション端末」

2010年07月01日 12時00分更新

文● 西田 宗千佳

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 日本のスマートフォン市場では、まことしやかに次のようなことが語られる。 「日本の市場ではQWERTYキーのある端末は売れない。テンキーかタッチパネルの端末以外を喜ぶのはオタクだけだ」と。だが、本田氏はそれを否定する。

本田「パソコンからわざわざ打ち込む、という例をすでにご紹介しましたが、ユーザーの方にも『やはり携帯のキーだけでは苦しい』ということは理解されているんです。あとは商品の作り方の問題だと思います。ビジネスパーソン向けの商品作りをするのか、ちょっとかわいい、広い層に向けた商品作りをするのかで、大きく異なると考えています。QWERTYだからどうという話ではないと」

「逆説的に言えば、IS01に注目していただいているのは、20~30代の女性です。仕事上パソコンは使いこなしている。そういった方々を狙い、携帯電話に『プラスワン』する端末として開発しました」

「その点をKDDI様にもご理解いただき、もちろんIS01のためだけのプランではありませんが、『ISデビュー割』という2台持ちに向いた料金プランもご用意いただきました。これはとても大きなことだと考えています」


「オープンインターネット時代の端末」をゼロから作ろう

LYNX SH-10B
IS01のNTTドコモ版と言える「LYNX SH-10B」

 ではOS選択はどうなのだろう? すでに述べたように、IS01は「Android第1号機として依頼されて作ったもの」でははない、という。事実、ほぼ同じハードウエアを使った機器が、NTTドコモから「LYNX SH-10B」として登場する。ソフトやユーザーインターフェースは同一でないし、料金プランも異なるので単純に同じものとは言えないが、開発をある程度共通化し、生産・開発コストの圧縮を図っているのは事実だ。それではAndroid採用の理由はなんだろう?

本田「こういう端末ですから、いままでの携帯電話のウェブブラウズとは違う体験が必要になる。そうなると、オープンインターネットの世界で、Androidが必要、ということになったのです。正確には、『Android+WebKitの世界』と言った方がいいでしょう」

「オープンモバイルインターネットの世界は、我々にとって衝撃的だったんです。企画開始時にはiPhone(2008年発売の初代機)が登場していて、そこにAndroidが現れた。ウェブコミュニケーションの隆盛、ユーザー側のリテラシーの向上、そしてAndroid。この3つの要素が組み合わさって、『新しい商品を作ろう』という機運になったのです」

 正直、最初のコンセプトの段階では、OSはAndroidではありませんでした。『足りないものはなんだろう?』と考えた結果、Androidを採用することになったのです。ですから、『シャープとしてAndroidはこう使う』とか『1台目はまずこうだ』という理解をされるのは誤解です」

 ただし、オープンソースのプラットフォームを採用するのは、シャープにとって課題を抱えたものでもあったようだ。

本田「我々としては、一般的な携帯電話もたくさん販売していますので、それらからスムーズに移行していただけるものにしたいと考えました。そのためにやったことは細々とあるのですが……」

「例えばタスク管理。一般的に、Android端末には『アプリケーション終了』という概念がありません。いつのまにかメモリーから解放されていて、たいていはレジュームします。ところがそれを通常の携帯電話の感覚で使うと、2つの観点で違和感があると考えました」

起動中のアプリ一覧もアプリで用意 Android本体にはない「起動中のアプリ一覧」もアプリで用意

本田「プライベートな情報を見ている時、お客様がそのアプリを閉じると、普通は『終了したもの』と思いますよね。でも、次回同じアプリを開いた時にレジュームされて、またプライベートな情報から開くというのは、状況によってはちょっと問題でしょう」

「また、メールを書きかけて『やっぱり止めた』と思ったとき、携帯電話では『終話キー』を連打して止めます。ですが、Androidではそれでも終了しないんですね。ここも操作上の違和感になると考えました」

「現状のAndroidの仕様もいい仕様だとは思うのですが、我々が作る端末には、そのままでは向かない。だから今回は『終話』キーを押すとアプリやウェブブラウザーが完全に閉じるようにしています。次に開く時には、ふたたびトップページからになります」

 かといって、独自性ばかりを追求するのがいいのか? そのあたりのバランス感覚には難しいところがある、と本田氏は言う。

本田「例えばAndroidでは、ホームキーを押したときの挙動などは変えるべきではない。やはりAndroidとしての互換性というのは、保たないといけません」

「最近では『スマートフォンも国内仕様が多く入って、ガラパゴス化するのではないか』といった声が聞かれるようになりましたが、我々はそうするつもりはありません。あくまで、Android全体を盛り上げないといけないと思っています。『シャープだけの~』というわけではなく、きちんとAndroid全体に貢献していけることが重要です」

 そこで象徴的だというのが「電話帳」の制限機能だ、と本田氏は話す。

本田「現在の携帯電話では、電話帳にロックをかけることが多くなっています。ですが、Android上でそれを実現するのは意外と難しい」

「Android上ではContacts APIを使って、電話帳データにアクセスします。あるアプリでロックをかけても、別のアプリからAPIを使うとデータにアクセスできるので、アプリにロックをかけても意味がないんです」

「そこでちょっと仕掛けをして、アプリにロックをかけた上で、API経由でほかのアプリがアクセスしに来た場合でも『情報がない』ように見えるよう、工夫をしています。お客様にとって大切なのは、『国産携帯電話と同じような使い勝手』であること。それをどう実現するか、ということが重要です」

「もちろんそのために亜流を作ってはいけない。亜流にならないように、『OHA』(Open Handset Alliance、Androidの管理を行なう業界団体)に働きかけて、必ず互換性を保てる形で実現していくことが重要です。どのような要望を挙げて、それがどう反映されるのか具体的にはコメントできませんが、相当数の要求を出させていただいているのは事実です」

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