エンタープライズ向けに
新しいモバイルOSのブランドを発表
Microsoftは6月後半、最新のモバイルOSブランドなどモバイル分野で新しい発表をいくつか行なった。スマートフォンブームでモバイル業界が活気付く中、ブームに乗れずにシェアを減少させているMicrosoftだが、複数のOSを提供する戦略で流れを変えることができるのだろうか。
まずは6月17日に最新のOSブランド「Windows Embedded Handheld」を発表した。エンタープライズをターゲットとし、2010年後半に登場する最初のバージョンは「Windows Mobile 6.5」を土台に管理やセキュリティを加えたものになるという。2011年に登場する次バージョンは「Windows Embedded Compact 7」(「Windows Embedded CE」の次期版。6月1日にコミュニティ技術プレビューが公開されている)をベースとし、よりリッチな機能を提供する計画だ。
ビデオメッセージにはMicrosoftのCEO、Steve Ballmer氏が登場、今後のモバイル戦略として、すべてのエンドユーザーをターゲットとする「Windows Phone」、エンタープライズ向けの「Windows Embedded」(Windows Embedded CompactとWindows Embedded Handheld)の2本柱を示す図も公開した。
だが、OSの種類としてみるなら、MicrosoftはWindows Mobile 6.5、2010年2月に発表した「Windows Phone 7」、Windows Embedded CE、Windows Embedded Compact 7と複数のラインを抱えることになる(加えて4月に発表した「Kin」ではまた別のOSを採用している)。たとえばAppleが「iOS」で、iPhone/iPad/iPod touchsをすべてカバーするのと比べると、OEM/開発者/エンドユーザーにとってわかりやすいとはいえない。
Ballmer氏は、Windows Embeddedでは「Visual Studio 2008」「Windows Form」などの既存開発技術を利用できる点を強調している。Microsoftが2月に発表した最新OSのWindows Phone 7では、開発技術は「Silverlight」「Microsoft XNA」で対応するため、既存のWindow Mobileアプリケーションが利用できない。
Windows Embeddedの場合、最初のバージョンはWindows Mobile 6.5を土台とするため、企業ユーザーは既存アプリケーションを利用できることになる。MicrosoftのWindows Mobileを現在利用しているのは主として企業ユーザーであり、これら既存ユーザーの保護は同社のスマートフォン戦略全体にとって重要となる。Microsoftは将来、Silverlight/XNA/「Visual Studio 2010」を土台としたプラットフォームへのマイグレーションパスを用意する、とも述べている。
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