ストレージ装置とは
バックアップメディアとしてのHDDには、前回「バックアップに使うメディアはどう選ぶ?」で説明した外付けHDDやリムーバブルHDDと、ストレージ装置(ストレージアレイ)とに分類できる。外付けHDDやリムーバブルHDDは、おもにパソコンやSOHO向けサーバーとUSBやSCSIなどのインターフェイスで接続される製品で、HDDを1台から数台内蔵し記録容量は数百GB(ギガバイト)から数TB(テラバイト)程度である。
これに対し、ストレージ装置は、おもに企業向けのサーバーに接続されることを想定した製品である。ストレージ装置は、多数のHDDを搭載する筐体(ディスクエンクロージャ)、大容量のデータを高速に処理するための機能をもった制御装置(コントローラー)、サーバー本体と接続するためのファイバチャネルなどの高速インターフェイスから構成されている。
記録容量は数TBから数PB(ペタバイト)のものまで、幅広く販売されている。小規模向けの製品と大規模向けの製品とでは、搭載できるディスク数のほか、コントローラの性能・インターフェイスの伝送速度・インターフェイスの数などが異なっている(図2)。
ストレージ装置は元来、システムの本番データを収容するための外部記憶装置として開発されたが、この10年ほどの間にバックアップデータの保存にも使われるようになった。
ストレージ装置には、一般にパソコン用のHDDよりも信頼性が高くデータの読み書きも高速な、SAS(Serial Attached SCSI)やFC(ファイバチャネル)仕様のHDDが使われる。ストレージ装置は「RAID(Redundant Arrays of Independent Disks)」と呼ばれる技術により、複数のHDDを論理的に1台の大容量のディスク装置として構成する(論理ディスクボリューム)とともに、HDDが故障してもデータを喪失しない仕組みを実現している。
RAIDはまた、データを複数のHDDに分散して読み書きする仕組みなので、装置全体としての読み書きはさらに高速になる。RAIDにはいくつかの実装があるが、企業向けのストレージ装置の多くは、信頼性が高く容量効率もよいRAID5またはRAID6を採用している。RAID5は1台のHDDが故障してもデータが失われない仕組みで、RAID6は2台のHDDが故障してもデータが失われない仕組みである。
(次ページ、「ストレージの進化と理想の実現」に続く)
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