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大河原克行が斬る「日本のIT業界」第11回

世界のCEOが考えていること

2010年07月01日 09時00分更新

文● 大河原克行

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高給取りは、それだけ悩みも……?

 日産自動車のカルロス・ゴーンCEOが8億9000万円、ソニーのハワード・ストリンガーCEOが4億1000万円──。

 今年の株主総会では、日本企業のCEOが高額の報酬を得ていると公表されて話題となった。1億円の報酬を超える日本人CEOも公表されている。近々、各社から提出される有価証券報告書では、さらにその内容が詳細になる。その高額報酬は、厳しい舵取りを要求されるCEOにとっては当然をいえる金額なのだろうか。

日本IBMの発表資料

 その議論はともかく、先頃、日本IBMは、全世界の主要企業のCEOを対象に実施した「IBM Global CEO Study 2010」の調査結果を発表した。

 日本のCEO、そして世界のCEOはいまどんなことを考えているのだろうか。厳しい舵取りを余儀なくされるCEOが直面する課題を、この調査結果から浮き彫りにしてみたい。


複雑さを意識した経営

 IBM Global CEO Study 2010は、全世界のIBMが、2004年から2年ごとに実施しているCEOを対象にした調査。4回目となる今回の調査では、60ヵ国、33業界、1541人のCEOを調査しており、そのうち、日本では12%に当たる171人のCEOを対象に調査している。

調査概要。日本でも171名のCEOが回答した

 2004年の調査では、ITバブル崩壊後のコスト削減から、成長戦略へと舵を切りはじめた、いわば「成長回帰」がCEOの重大テーマ。それが、2006年の調査では、成長した企業においても突出したところと、そうではない企業との格差が表れたことで「イノベーション」が最大の課題とまとめ、2008年の調査では、継続して勝ち続けることの難しさを背景に、定常的なイノベーションの必要性がCEOに求められた課題であるとし、「イノベーションを継続する仕組み」をキーワードにあげた。

 そして、今回の調査では、全世界の経営トップに求められているのは、「複雑さを武器とする経営」と定義付け、「世の中はこれからも複雑性が増していく。だが、複雑であることを定常的なものと捉えて、そこに柔軟に対応していくことができれば、むしろ複雑さを武器にした経営ができ、それが成長につなげることができる」と、調査結果から導き出させるCEOの姿を総括した。

 その背景には、経済環境が複雑だと回答したCEOの割合が60%に達していること、今後5年以内に大きな複雑性に直面すると回答したCEOは79%に達しているなど、経済環境が複雑化することに、CEOの関心が集まっていることが見逃せない。

 新たな経済環境に対しても、従来の経済環境と比べて、従来よりも多くの要因が影響していると回答したCEOは82%に達し、「顧客を見ていれば良かったという状況から、様々な要素を勘案して、ディシジョンをしなくてはならない状況へと変化してきている」と、IBMでは分析している。 複雑性の要因には、いくつかの要素があげられる。

 CEOが予測するものとして、業界構造の変化、環境や社会問題に対する関心の高まり、人材不足、成熟市場から新興国市場へのシフト、そして、グローバル市場とローカル市場とのバランスの変化などが挙げられる。これに伴い、収益モデルの変化が求められ、協業や提携、買収といった動きもこれまで以上に活発化する可能性が高くなっているといえよう。こうした複雑性のなかでの舵取りが、企業トップに求められているというわけだ。

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