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スマートフォン対応サイトの作り方、教えます (2/3)

2010年07月28日 10時00分更新

文●たにぐちまこと/H2O Space.

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スマートフォンへの対応方法あれこれ

 前に紹介したサイトへアクセスしてみると、ひとくちに「スマートフォン対応」といってもさまざまな方法があることが分かります。たとえば、Googleはほぼすべてのコンテンツやサービスをスマートフォン向けに最適化して表示していますが、食べログのようにサイトとは別に専用アプリを提供する方法や、ぐるなびのように一部のページだけ対応する方法もあります。


■スマートフォンへの完全対応

 Googleやmixi、Facebookのように、スマートフォンでもPCとほぼ同様のコンテンツ、サービスを提供する方法です。PCサイトと同一のURLにアクセスすると、スマートフォンの場合だけ最適化された専用サイトへ移動します。

 専用のURLの入力や特別な操作が必要ないので、Twitterやメールなどのリンクからもそのままアクセスできますし、スマートフォンとPCのブラウザーのブックマークを同期しているユーザーにも便利な対応方法です。


■専用アプリを提供

 Webサイトとは別に、iPhoneのApp StoreやAndroid Marketから専用アプリを提供する方法です。専用アプリは、Webサイトだけでは実現しにくい機能をユーザーに提供できるのが強みです。たとえば食べログのアプリでは、外出先で利用することが多いスマートフォンの特性を生かして、付近の飲食店を検索する「現在地から検索」という機能が付いています。

 Facebookのように、スマートフォン向けサイトを用意しつつ、メッセージの着信通知などの独自機能を持つ専用アプリを提供しているサイトもあります。必要十分な機能を提供するサイトと、付加機能を提供するアプリの両方を用意する方法です。Amazonはバーコードをスキャンして商品を検索できるアプリを、Yahoo!はオークション管理に特化したアプリを提供しています。


■一部のページだけを対応

 「ぐるなび」やYahoo!のように、スマートフォンユーザーのニーズが高い一部のページだけを最適化する方法です。この場合、トップページにアクセスした時点ではいったんPCサイトを表示してバナーなどでスマートフォン向けページへ誘導したり、フッターにPCサイトへ切り替えるリンクを設置したりして、スマートフォン向けには提供されていないコンテンツや機能へもアクセスできるようにしています。

Yahoo!はスマートフォン向けとPC向けを切り替えるリンクを設置している


 実際にWebサイトを「スマートフォン対応」する場合にどの方法がよいかは、サイトの規模や構造、スマートフォンユーザーをどのよう程度取り込みたいかといった、サイトの戦略や方向性によります。「完全対応」や「専用アプリ」を用意する方法はユーザーにとってはメリットが大きい半面、クライアント(発注者)側にはそれなりのコストがかかります。一部のページから少しずつスマートフォン対応を始めて、ユーザーの動向を見ながら徐々に完全対応や専用アプリを検討するアプローチもあります。


いまスマートフォン対応が必要な3つの理由

 いくら勢いがあるとは言っても、携帯電話全体に占めるスマートフォンのシェアはまだ10%未満(インプレス調べ)ですから、まだ対応を急ぐ必要はないと思う方もいるかもしれません。しかし、純粋に現時点でのシェアだけでは測れないスマートフォンならではの事情もあります。スマートフォン対応が必要な理由を3つ紹介しましょう。


■携帯電話というよりもPC

 電子マネーが利用できず、iモードなどの携帯コンテンツを楽しめないスマートフォンは、携帯電話をアクティブに利用しているユーザーからするとむしろ不便な端末といえます。そのようなユーザーは、スマートフォンには乗り換えません。

 むしろスマートフォンユーザーの中心は、携帯電話よりもPCをアクティブに利用している人たち。PCがないリビングやベッドルーム、外出先などでちょっとWebを見るのに使ったり、手軽にWebへアクセスできる「簡易パソコン」として使ったりしています。スマートフォン対応サイトは携帯ユーザーよりも、こうしたPCユーザーに対する情報提供の手段になります。


■Twitterからの流入

 スマートフォンにはネットを使いなしているユーザーが多く、TwitterやRSSリーダー、USTREAMなどの新しいサービスを積極的に活用する層とも重なります。特に、Twitterとスマートフォンの相性はよく、スマートフォンでネットを利用するユーザーの42.5%がTwitterを使っているとの調査結果もあります(インプレス調べ)。

 スマートフォンでTwitterを利用するユーザーは、タイムライン上で共有したURLにそのままスマートフォンからアクセスしますから、Twitterからの流入を重視したい場合は着地ページのスマートフォン対応が重要になります。


■大手メディアサイトの対応

 すでにスマートフォンへ対応している大手メディアサイトを経由して訪れるユーザーのためにも、スマートフォン対応は大切です。たとえば飲食店のサイトなら、「ぐるなび」や「食べログ」からの流入は少なくありません。せっかく詳細な情報を求めてサイトを開いたのに、スマートフォンで見られなかったり、見づらかったりするとそれだけで機会損失につながるかもしれません。


 スマートフォンの今後のシェア拡大を見越して対応サイトを用意する、という考え方ももちろんありますが、特にPCやネットをアクティブに利用しているユーザー層を取り込みたい場合には率先してスマートフォン対応を進めるとよいでしょう。

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