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ネットは「アニメの全体」学べる小さな社会 「眼鏡」監督に聞く

2010年06月26日 14時00分更新

文● ノトフ

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プロは部品をつくり、ネットは全体をつくる

―― 現在、映像製作のお仕事をされているかたわら、irodoriとしての活動もされているわけですよね。プロとアマの作品づくりにちがいはありますか。

たつき 仕事でやるときは、エネルギーを一極集中して、専門的にクオリティを上げていくんです。でも、irodoriの場合は、エネルギーを平べったく使って作品を丸々一本作る感じですね。なのでirodoriの作品を見て、プロのアニメーションってこんなものなのかと思われると、それはちょっと違うと思うんですよね。

たつき監督

―― なるほど、「プロが作ったアニメーション」っていうと違和感がある。

たつき そうなんですよねえ。

―― ニコニコ動画で作品を発表しつづけていることで、プロとしての自分にフィードバックできたところってあります?

たつき 技術的なところはもちろんあるますけど、それよりも、一本の作品をちゃんと作っているんだぞってところですね。仕事だとどうしても部分的な作業になりやすいですから。1本のアニメを作っているというモチベーションにつながってます。

―― プロの仕事だと専門職ですからね。自分がやってる仕事が、作品のどんな部分を作っているのか、分からなくなるときがありそうですもんね。

たつき ですね。反対にirodoriは、仕事で出しているクオリティを、どうやって(作品)全体に出していけるのかっていう試みでもあります。

―― irodoriの活動を続けて、たつきさんの中で意識改革というか、変わってきたことってありますか。

たつき お客さんをあらためて再認識できたのは本当に嬉しかったですね。

irodori公式サイト

―― 再認識っていうのは、本当にお客さんがいるんだなという?

たつき そうです。これはニコニコ動画やイベントのおかげですね。動画のコメントで笑ってもらったり、ボロカスに言ってもらったり。イベントで直接「面白かったですよー」って言ってもらったりして。映像って、作った先に人がいることを感じにくい気がするので、お客さんの再認識は良かったと思います。

―― お客さんの顔が見えていいところって、モチベーションとか?

たつき そうです。ネットだと、作ってもお金にならないどころか、持っていかれているところも大きいですけど、メンバーもみんな作りたいから作りはじめてるんですよね。その最初のモチベーションに帰っていけているのはいいことですね。

―― 今、irodoriで制作をはじめたころとくらべて、モチベーションは変わりました?

たつき また違うモチベーションがある気がします。活動をはじめたころは、「お客さん」よりも「こんなのが作れるんだ」って感動してましたけど、それが今は作品の感想を返してもらって、それが次につながったりしているのが面白いですね。

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