センサーサイズの違いはとてつもなく大きい
そして2つ目には、APS-Cサイズ(ニコンの“DXフォーマット”は23.6×15.8mm)や35mmフルサイズ(36×24mm)の大型撮像素子を搭載すること。例えばコンパクトデジカメで最近よく搭載されている裏面照射型CMOSセンサーでは、1/2.3型(5.9×4.4mm)のものが多く利用されている。
コンパクトデジカメでも最近は光学30倍ズームなどという、一台で広角から超望遠レンズをまかなえる種類のものも出てきている。しかし、画角の違いによる写真表現の幅はあるとしても、センサーの大きさはデジタル一眼レフが搭載しているものよりも小さいので、絞りを開放にしたときや絞りのコントロールによる被写界深度の自由さはデジタル一眼レフには及ばない。
さらに、同じ解像度のセンサー同士であれば、1画素あたりの受光面積もデジタル一眼レフが搭載しているものの方が大きくなるので、受光感度が上がり画質にも影響してくる。
例えば同じ撮影条件で両者の画像を見比べたとき、特に暗部の階調表現に歴然とした差が出てしまう。これは裏面照射CMOSセンサーなどの最新の撮像素子であっても、その差ははっきりと出るのである。このあたりも大きなセンサーを搭載しているメリットであり、買い換えて初めて使ってみてすぐに違いを感じるポイントだろう。
光学ファインダーを越えられないEVF
3つ目には光学ファインダーを搭載していること。EVF(電子ビューファインダー)でもいいのでは? という意見もあるだろう。確かに、暗い場所などで使用する場合EVFであればセンサーからの映像をゲインアップ(電子的な増感)して映し出してくれるので見やすいかもしれない。
その点、光学ファインダーは暗いままなので見ることさえままならない場合もある。しかし、背面モニターや小型液晶ファインダーは、マニュアルフォーカス時のピントの見やすさという点で光学ファインダーにかなわないと思う。
すべてAFにするから大丈夫、という意見もあるだろうが、光学ファインダーを搭載した一眼レフの位相差AFとEVF機などのコントラスト検知式AFでは動作スピードにまだまだ開きがある。
さらに、レリーズタイムラグ(シャッターを押してから実際にシャッターが動作するまでのタイムラグ)やファインダー像消失時間も光学ファインダーを搭載した一眼レフにはアドバンテージがある。
それぞれ将来的には一眼レフを超えるものが出てくるかもしれないが、フィルムカメラの頃からこの部分の精度を熟成させてきた一眼レフにまだ十分アドバンテージがある。現状で超えているとしたら、同じミラーレスでもレンジファインダー式デジタルカメラ(ライカ“M9”やエプソン“R-D1XG”など)くらいなものだろう。
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