学生時代に抱いた「なんじゃこりゃ」が根源
―― ルーツについて掘り下げさせてください。サイトに「社会学というより、社会と人間に興味がある」と書かれていました。そういう興味を持ったのはいつ頃からですか?
パオロ うーん、子供の頃から漠然とは持っていましたね。社会と人間……つきつめると文化史的なところ……さらに核の部分でいえば、「日本人はいつから『ふれあい』が好きになったんだろう」とか「人間はいつから『いい加減』になったんだろう」とか、そういう庶民的なところに興味を持っていました。
そこから反『社会学』の意識が芽生えたのは、今思えば学生時代の講義がきっかけだったのかもしれません。経済学や社会学を教養科目として履修しているとき、「なんじゃこりゃ」と思うことが多々あって。「実際に起きた社会の現状を、経済学や社会学の法則に無理矢理当てはめているだけじゃないか」という反発心が沸いたんですよね。
―― 興味と反発心が仕事のノウハウと融合して、現在の探求が始まったと。
パオロ そうですね。学生時代に色々調べればもっと違っていたんでしょうけど、当時は「間違ってるんじゃないか。よし、調べてやる」とはなりませんでしたから。
「反社会学講座」を書きはじめてから、もともと興味のあった文化史について調べるようになったんです。そのうちに、統計的な事実や社会科学的な方法論が必要になって、色々取り込んでいったんですね。そうやっているうちに、学生時代に抱いた反発心の具体的な答えが出せるようになったという感じです。
―― なるほど。すごく日本に根づいたルーツですね。ということはパオロさんは……。
パオロ 日本での生活もずいぶん長いですから(笑)。ただ、言えるのは、私はものすごく詳しい専門分野があるわけではないので、基本的に一般の人が読んで分かるレベルのものしか書きませんし、書けないんですよ。その反面、学者間の枷(かせ)みたいなもの、「こんなこと書いたら仲間内からバカにされるんじゃないか」みたいなものがなく、一般の人のほうだけ向いて書けるというところはあります。
―― 分かりました。おっしゃるとおり、特に専門知識がなくても楽しく読めるのが反社会学講座の魅力ですね。一方、一部の学者さんから批判的なレビューを書かれたりと、賛否両論があると思います。体感された反響はどうでしたか?
パオロ どうなんでしょうね。サイトを公開したばかりの頃は、学者の人を含めて面白がってくれる人が多かった気がします。でも、本を出すにようなってから、批判的な意見も色々言われるようになりましたね。特にひどかったのか、2冊目で経済学のことをちゃかしたときです。1冊目の「反社会学講座」を面白いと言ってくれた経済学者の人が、2冊目を読んだあと「褒めてやったのにウチらまで批判しやがって」と怒ってきたんですよ。まあ、他人事なら面白いけど、自分の領域に入ってきたら許せんということなんでしょうけど(笑)。
それでも、直接メールをいただく以外の反響はほとんど把握していないので、実情はわからないですね。アクセス解析も面倒でやっていないですし、検索エンジンで評判を調べるというのも興味がないですから。
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