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週刊 PC&周辺機器レビュー 第59回

新しくなったVAIO J テレビ機能の進化をチェック

2010年06月18日 12時00分更新

文● 小西利明/ASCII.jp編集部

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テレビを軸にネットで楽しむカタログビューも健在

 新機能ではないが、他社にはないVAIOのGPDだけの機能である「カタログビュー」についても触れておきたい。記事冒頭でも少し触れたが、カタログビューは番組の内容に基づいて、「何分にCMが入り、何分にはどんな内容を報じているか」といった番組の詳細な進行表や、番組やCM中に登場した商品、店舗などの詳細情報を、番組映像とは別に表示する機能である。

カタログビューでニュース番組を表示した例

カタログビューでニュース番組を表示した例。何分にどんなことを報じていたかや、そこで出た店舗の情報を確認できる

 これが特に威力を発揮するのは、ニュース番組や情報バラエティー番組だ。番組中に登場した料理店やホテル、美術館や公共施設の、名前と住所、ジャンル、存在すればウェブサイトのアドレスといった情報が閲覧できる。番組中で出た話題のレストランの情報を確認、といったことが簡単にできる。

 通常は録画で飛ばされがちなCMも、カタログビューならジャンルや企業ごと、あるいは出演者ごとに分類して表示できるので、より積極的な情報提供手段として利用できる。面白いのは、番組関連商品の販売サイトへリンクする情報もあることだ。ドラマ「水戸黄門」を録画してみたところ、カタログビューで番組オープニングを見てみると、ドラマのサウンドトラックCDの商品情報や、通販サイトへのリンクが表示された。ドラマや音楽番組、情報番組でこれをうまく使えば、番組をさらなるビジネスにつなげることもできるわけだ。

カタログビューのCM情報を表示

リモコンモードでカタログビューのCM情報を表示。どんなCMが流れていたかをわかりやすく確認できる。ただ流れるだけのCMから、より積極的な情報発信に変わるわけだ

番組のサントラCDへのリンクが出てくる

水戸黄門のオープニングを見ると、番組のサントラCDへのリンクが出てくる。今のデータ放送では対応できていないビジネスも、カタログビューなら可能だ

 カタログビューは多角的に番組を楽しめる素晴らしい機能だ。残念な点があるとすれば、番組情報の解析は放送後に人手で行なわれているため、番組視聴中や録画直後には見られないこと。ケースバイケースではあるが、放送後中1日程度の時間はかかるという。

 本来ならば、こういう情報こそ放送局が番組制作と同時に用意して、データ放送の帯域を使って放送と同時に配信し、データの書式は公開して受信機側で任意に表示できるようにしておくべきだろう。番組が持っている情報をうまく利用すれば、番組自体もより楽しくなるし、放送局のビジネスの核であるCMも、視聴者にとって有用なものになることをカタログビューは示している。だが残念なことに、現状のデータ放送は視聴者にとって魅力のないデータの配信にしか使われていない。まったく馬鹿げたことだ。


動作も速く、シャットダウンからの録画も可能に

 そのほかにも新GPDでは、動作全般の速度向上が図られている。例えばGPDを起動してテレビ番組を見る際には、従来は20秒近くかかった番組表示の開始が、6秒程度まで高速化されている。チャンネル切り替えにかかる時間も約3秒と、テレビ並みかそれ以上に速くなった。

 シャットダウン状態でも予約録画が可能になった点も、地味だが使い勝手に関わる改良点だ。従来はスリープ状態から復帰しての録画は可能だったが、電源オフのシャットダウン状態ではできなかった。シャットダウンからの録画を有効にしている場合、録画開始時間の10分前になるとパソコンが自動で起動し始めるようになっている。10分あれば、Windows 7が起動して各種常駐アプリケーションやサービスが実行され、さらにGPDが起動するまで十分な時間がある。

 間違えてシャットダウンしたままでいても、録画を取り逃す心配はないし、消費電力もスリープ状態より減らせる。シャットダウンからの録画機能はユーザーの利便性を上げるよい改良だ。ただし、シャットダウンからの再起動では、Windows Updateや各種アプリケーションの自動アップデートが動作してしまう可能性があることには注意が必要だ。こればかりはGPDにはどうしようもないので、不測の事態を避けたければ、スリープを利用した方が安全だろう。


 VAIO Jと新GPDの組み合わせは、テレビパソコンに求められる機能をほぼ余さず搭載している。主な機能はハイエンドのBDレコーダーに匹敵するし、カタログビューなどは凌駕している。ソニー製BDレコーダーと比較してできないことといえば、「スカパー!HD録画」ぐらいのものだろうか。

 AVC長時間録画では、新GPDよりも高圧縮率をうたう他社製品もあるが、画質の劣化を考えると、カタログスペック以外の魅力はあまりない。新GPDとダブル3波チューナーを搭載するVAIO Jは、間違いなく現在のテレビパソコンの中では最も優れた機能を持つ製品と言えるだろう。テレビパソコンを求めるユーザーには、選択肢に入れてほしい1台だ。

VAIO J VPCJ119FJ/B の主な仕様
CPU Core i5-450M(2.40GHz)
メモリー 4GB
グラフィックス CPU内蔵
ディスプレー 21.5型ワイド 1920×1080ドット
ストレージ HDD 1TB
テレビ機能 地上/BS/110度CSデジタル放送×2
無線通信機能 IEEE 802.11b/g/n
インターフェース USB×4、i.LINK、10/100/1000BASE-T LANなど
サイズ 幅525×奥行き185×高さ398mm(最小傾斜時)
質量 約9.8kg
OS Windows 7 Home Premium 64bit
価格 オープンプライス(予想実売価格 22万円前後)
発売日 6月19日

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