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T教授の「戦略的衝動買い」 第103回

コイルが中央に鎮座!! 大胆デザインの「シチズン7400」

2010年06月17日 12時00分更新

文● T教授

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「史上最強」を感じさせる、圧倒的な存在感

 シチズン7400の特徴は、何よりスゴみのある、思い切ったインダストリアルデザインに集約される。直径5mm、長さ35mmで黄金色に輝く巨大なコイルの受信アンテナが真ん中をぶち抜いているという文字盤は、ひと目で忘れられないインパクトだ。

 そしてこの重要なアンテナを大きく覆って保護するために、クリスタルの風防がかなり盛り上がっている。この時代の主役は誰も疑うことのない「アンテナ」なのだ。

 その影響で、本来、文字盤の中央に陣取るべき時刻表示機構は、巨大なアンテナの右半分に追いやられて、直径わずか12mm前後という女性用の腕時計のようなサイズに縮まっている。

文字盤中央をぶち抜く今では常識外れのアンテナが「機能デザイン」の極致と、開発者の自信の程を見せてくれる

豪快な電波受信アンテナを保護するクリスタル風防は、中央が厚く大きく盛り上がっている。嫌でも目立つデザインだ

時刻表示は右半分に追いやられてしまっている。左半分はメチャ余分なスペースを割いたカレンダー表示機構(左上)と、電波局の選択&モードセレクター(左下)

 もちろん、時刻の表示エリアはコンパクトながらも、長短2針と秒針、GMT針の合計4本をサポートしている。左上部には、10時位置の「カレンダー呼出ボタン」を指先で押し続けている間だけ月日を表示するカレンダー機能を用意。左下部には、使う受信局を決めるモードセレクターがある。

 カレンダー呼出ボタンは、押している間、2本の針が定位置より移動して、太くて短い針が「月」を指し、細くて長い針が「日」を指し、ボタンをリリースすると初期位置に復帰する仕組みだ。

 また長短二本の針は、数個あるボタンの組み合わせを押すことで、複数のローカルタイムの指定や、強制手動受信の開始、そして受信結果の成否などをオーナーに知らせてくれる。

右半分の時刻表示機構は、時分を指す2本の長短針。24時間表示を行う短く先端に矢印の付いたGMT針。そして正確に文字盤マーカーの上で秒を刻む秒針の4針で構成される

カレンダーは、数字や曜日が書かれた円盤を用いるのではなく、長短2針がそれぞれ扇状に印刷された月と日を指し示すというギミックを使っている

10時位置のカレンダー呼出ボタンを指先で押し続けている間だけ、短針が月を、長針が日を指す。写真の場合は、6月12日(短針がMAYとJULの間、長針が11と13の間を指している)を示している。

 シチズン7400は、今年の5月10日に17回目の誕生日を迎えた。しかしその独特のデザインは、自分が電波時計であることを忘れ、ごく普通の腕時計に溶け込んでしまった昨今の電波腕時計とは一線を画している。

 誰もが見た瞬間に感じる、圧倒的な存在感。時代の経過を感じさせない思い切ったデザイン。しかもこのこのゴールド&シルバーのコンビネーションモデルは、日本向けには300本しか販売しなかった。間違いなく「史上最強の電波腕時計」なのだ。


今回の衝動買い

アイテム:シチズン「多局受信型電波腕時計7400」
価格:10万円(1993年5月の発売当時)


T教授

T教授

 日本IBMから某国立大芸術学部教授になるも、1年で迷走開始。今はプロのマルチ・パートタイマーで、衝動買いの達人。

 

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