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コンテンツは「無体物」の時代へ 角川会長かく語りき

2010年06月15日 20時00分更新

文● ASCII.jp編集部

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「オリジナルではないもの」の価値を認める時代へ

 討論の終盤、話題になったのは「著作物」の扱いについて。口火を切ったのはNHKの永井氏。デジタルアーカイヴの難しさについて語った。データ収蔵のポイントとなったのは「テープ」だ。

 番組は、映像、音声、キャプションなど、様々なジャンルを組み合わせた大量のデータで作られている。それをすべてサーバーに上げるのではなく、テープとして保管してある大量の情報の中から、必要なものだけを吸いあげる仕組みが必要になったと話した。

NHK専務理事の永井研二氏

 角川氏は「ジャンル」という言葉でそれを説明した。映画は映画、本は本、という形で販売されていたが、それが1つに「融合」するのではないか。

 「(次の時代は)ビジネスモデルがどうかというのはさておき、媒体の垣根を超えて1つのコンテンツになってしまうということではないか。出版業界、放送業界、音楽業界など、それぞれの業界が別々に権利を守っていた境界が崩れるのではないか」と話した。

 その中で、iPad向けの電子書籍「不思議の国のアリス」を例に挙げる。ビデオと従来の書籍が融合した「VOOK」と呼べるようなものをふたたび作る時代になってきたのではないか? そう話し、新たな「パブリッシャー」の到来を予想した。

 「そこにはもちろんリスクもあるが、チャンスはある。ここに来て新しいメディアが生まれてきたのではないかと思う」(角川氏)

新時代、出版社の担う役割を語る角川氏

 最後に「無体物の著作権」について聞かれた角川氏は、従来の著作権の「複製する場合でも同一性を損なってはいけない」という原則にふれた。ネット時代の現在となっては「加工物」(二次創作物)があるのは当たり前。その加工物とどう向き合っていけばいいのか、自説を語った。

 「大量生産はするが、活版印刷で同じものが送れるということが強調されていた。だがあえて『変化してしまうこと』を良しとする時代にふさわしい、新しい著作権基準をつくることが必要。パロディなど『加工後』のものにも、加工される前のものと同じだけの著作権を適応できるのではないか」 角川氏はそう論をくくった。

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