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コンテンツは「無体物」の時代へ 角川会長かく語りき

2010年06月15日 20時00分更新

文● ASCII.jp編集部

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「Googleブック検索」時代にも国会図書館は必要?

 つづいてはパネルディスカッション。国立国会図書館 館長の長尾真氏、NHK専務理事の永井研二氏、米クランチロール社の創業者であるクン・ガオ氏の3名をまじえ、コンテンツにまつわるそれぞれの自説を展開した。

 クランチロール社は、日本のアニメをネットで配信しているベンチャー企業。議論に先立ち、クン・ガオ氏は「これからの5年間は従来型のメディア企業はいい時代になるのではないか」と述べた。ただし、そこで利益を生むためには「包括的な戦略」が必要だという。

 日本で放送されたアニメは30分以内にネット上で配信。しかもすべてのプラットフォームに対応し、さらには海賊版への対抗策も包括的にとる必要がある。そうした技術的発展はコンテンツを出す作り手との協力があってこそのことだと語った。

クランチロール社のクン・ガオ氏

 はじめに話題になったのは「Googleブック検索」と「国会図書館」について。国会図書館の長尾氏は、グーグル社が私企業であるところを問題と指摘。企業であればつぶれてしまうこともありうるし、市場を独占することの危険性もある。国の財産である文化資源を守るためには、やはりパブリックな機関である国会図書館が適正だとした。

 角川氏は、むしろ今の図書館の問題は「ベストセラーばかりを置き、利用されることを中心として考えている」点だと指摘。書店では流通しづらい良書を所蔵することに図書館の意味があるとした上で、国会図書館に期待したいと話した。

国立国会図書館 館長の長尾真氏

 また、ツイッターなどを例に挙げ、個人が持つ智恵を共有する「巨大知」の時代にあって、グーグルは「いつも目標が完成しないところにいる企業」になりつつあるのではないかと角川氏は話す。その中で日本の文化を保存していくためには、やはり国会図書館を使うのがいいのではないかという。

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