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末岡洋子の海外モバイルビジネス最新情勢 第4回

Samsungの最新スマートフォンOS「Bada」戦略を読み解く

2010年06月16日 12時00分更新

文● 末岡洋子

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Androidにも注力する一方、自社製OSを前面に出し
iPhoneやAndroidに対抗していく

 もう1つの戦略がBadaだ。Badaは新しい技術ではなく、これまで自社端末で使ってきたプロプライエタリOSをスマートフォンOSとしてオープンにし“Bada”(韓国語で海の意味)と名付けたものである。SDKの提供やアプリケーションマーケットなども展開していく。Samsungは2009年11月にBadaを、2010年2月に初代端末となる「Wave」を発表した。

日本でも記者向けに端末が公開された「Samsung Wave」。見てもわかるようにUIや画面に既存のスマートフォンと大きな違いがあるわけではない

 Waveには1GHzの自社製プロセッサーを搭載、iPhone 4が「Retina」と呼ばれる高解像度画面を特徴としているのに対し、「Super AMOLED」(スーパー有機EL)を搭載する。明るさは20%増、一方で直射日光下での反射を80%抑えるという。画面のサイズは3.3型(解像度は800×480ドット)で5メガピクセルカメラも搭載した。

 ソフトウェアでは、SamsungのウィジェットベースのUI「TouchWIZ」、電子メールや「Facebook」「Twitter」などのソーシャルネットワークサービスを統合する「Social Hub」などが特徴となる。

 6月のWave発売(重要市場となる英国では、Appleの「iPhone 4」発表日に発売された)に先がけ、6月1日に予定どおりSDKを公開した。API、UIビルダー、シミュレーター、デバッガーなどで構成され、無料で入手できる。開発したアプリケーションは「Samsung Apps」というマーケットプレイスで公開できる。Samsung Appsは現在、英国やフランスなど一部市場でのみ利用できるが、Samsungでは年内に50ヵ国展開を目指している。

iPhoneにAndroidと、すでに大きな市場を持っているスマートフォン向けプラットフォームが存在する中、どの程度の数のアプリが開発者によって生み出されてくるのだろうか

 Samsungの狙いはもちろん、サードパーティのアプリケーション開発を促進し、iPhoneやAndroidのような一陣営を作ることだろう。それにあたり5月中旬から7月前半まで、欧州、アジアなど世界約34都市で「Bada Developer Day」を開くほか、アプリコンテスト「Bada Developer Challenge」も開催する。Androidアプリのコンテスト「Android Developer Challenge」とネーミングもコンセプトもまったく同じで、最優秀アプリには現金30万ドルが贈られる。賞金と景品(Wave)を合計した総額は270万ドルという。

 しかし、Bada搭載機が現時点で1機種しかなく、Samsungが他のメーカーにBadaをオープンにする予定は「当面ない」としていることを考えると、開発者がBada向けにアプリケーションを作成するモチベーションは果たしてどのぐらいのものだろうか。2月にSamsungの幹部に話を聞いた際は、2010年にはスマートフォンの出荷台数を前年比3倍にする目標であり、台数の面でBadaのプッシュが大きな役割を果たすとのことだった。Samsungのブランド力と資金力を考慮すると、端末と開発者向けの取り組みを積極展開し、相乗効果を狙える可能性はありそうだ。

 なお、SamsungはBadaを用意した背景について、Windows MobileやSymbianなどの外部OSは自社の携帯電話に完全にはフィットしない、と開発の限界を指摘していた。アップルのiPhone、RIMのBlackBerryの共通点は、OSと端末をセットで開発・提供している点だ。この長所をBadaで実現しつつ、他のOSにも手を広げておく、これは“メーカー”という同社のDNAを考えると納得がいく戦略と思う。

筆者紹介──末岡洋子


フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている

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