祝帰還!「はやぶさ」7年50億kmのミッション完全解説【その3】
ついにたどり着いた小惑星イトカワが「ラッコ」だった件について
2010年06月14日 12時00分更新
ラッコの表面はゴツゴツ……降りられるのは「ミューゼスの海」だけ
11月4日、リハーサル降下試験を行なったものの、自律航法のための画像処理が能力を越え、中止。地上からの補助を加えて再度臨むこととなった。また、着陸予定地のひとつだった「ウーメラ」には、予想よりも大きな岩石が多かったため不適当と判断。着陸は、ラッコでいえば首の部分にあたる「ミューゼスの海」地域となった。
11月12日、第三回リハーサルが行われ、小型ローバ「ミネルバ」が分離。しかし、ミネルバのイトカワ表面への投下はならず、放出されながら「はやぶさ」の太陽電池パネルを捉えた画像を残し、失われた。
11月19日、第一回のイトカワ着陸と試料採取が開始された。88万人の名前を入れたターゲットマーカが、ミューゼスの海に投下され、光るターゲットマーカとその横に落ちる「はやぶさ」自身の影が写った印象的な画像が撮影された。
コラ画像まで作られた会心の一枚
齋藤 私にとっては、「はやぶさ」が撮影した画像はどれもすべて大切ですけど、この「はやぶさ」の影が写った一枚は想像以上に受けましたねえ。あんなに受けるとは思わなかった。外国の掲示板かどこかにも転送されたらしいです。その後、この「はやぶさ」の影の横に「スター・ウォーズ」に出てくるX-Wingの影を落とした画像がアップされたらしく、それを印刷したものが運用室に貼ってありましたよ。
ノーマルな撮影のときには、イトカワの自転などに合わせてスケジューリングした上で撮影するわけですが、タッチダウンのときは忙しくてそれどころではないので、その都度撮影のコマンドを手打ちするんです。「今撮れる? 割り込んでいい?」って。
AMICA/ONC-Tは最短撮影距離が100mで、それ以上近づくとボケる可能性があったんです。それでもいいからと70m前後くらいで1枚撮ってますよ。幸い、ボケなかったので結果オーライですが、よく撮れたなあというのがありますね。
次回予告!
初めて見るイトカワは予想外の姿だった。それでも着陸決行に向けて動き出した「はやぶさ」だが、想像を超えた事態、そして危機に次ぐ危機に見舞われる。
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